シンガポールでの転職活動に必要なビザの基本理解
シンガポールで転職活動を進めるうえで、まず理解すべきなのがビザ制度です。2023年9月にはEP審査にCOMPASS(ポイント制)が導入され、2025年以降は給与基準もさらに引き上げられました。かつてより取得難度が上がっている今、求職者は主要な就労ビザの要件を事前に把握し、応募先企業選びの段階から戦略的に動く必要があります。
転職活動を始める前に、まずビザの種類と要件を理解することが重要です。主な就労ビザにはEmployment Pass(EP)、S Pass、EntrePassなどがあり、職種・給与水準・学歴によって適用されるビザが異なります。また、ビザの申請は原則として雇用主がスポンサーとなって行うため、転職活動の初期段階から「スポンサーとなれる雇用主かどうか」を確認することが重要なステップとなります。
なお、転職活動においては現地の転職エージェントの活用も有効です。非公開求人の紹介や面接対策に加え、ビザに関する最新情報の提供まで幅広いサポートを受けられます。シンガポールの労働市場やビザ制度に精通したエージェントを選ぶことで、転職活動をより効果的に進めることができます。
要点まとめ
シンガポールの就労ビザはCOMPASS導入・給与基準引き上げにより、以前より取得難度が上がっています。主なビザにはEP・S Pass・EntrePassがあり、いずれも雇用主のスポンサーが必要です。転職エージェントの活用や制度の最新情報の把握が、転職成功の鍵となります。
シンガポールの転職市場概況

シンガポールの転職市場は、IT・金融・製造業を中心に外国人専門職への需要が継続的に高い水準で推移しています。特にデータサイエンティストやAIエンジニアなどの高度専門職、ソフトウェアエンジニア、金融分析職では人材需要が旺盛です。
一方で、シンガポール政府は「Strong Singaporean Core」の方針のもと、外国人労働者の受け入れを精鋭化する方向で制度整備を進めています。2023年のCOMPASS導入、2025年以降の給与基準引き上げはその流れの一環であり、企業側には「シンガポール人が公正に競争できる採用プロセス」の実践が求められています。求職者にとっては、自身のスキルや給与水準が制度要件を満たしているかの事前確認がこれまで以上に重要です。
リモートワークの普及により、シンガポール国内外問わず柔軟な働き方を希望する求職者の転職活動も増加しています。市場の活況は続いていますが、特定業種・職種での人材競争は激化しており、スキルや経験の差別化が採用可否を左右する場面が増えています。
注意
シンガポールの転職市場はIT・金融・製造業での競争が激しく、ビザ制度も頻繁に変更されます。応募前に自身の給与水準がEPまたはS Passの最新基準を満たしているかを必ず確認しましょう。MOM(人材省)の公式サイトにセルフアセスメントツール(SAT)が公開されており、事前診断が可能です。
転職活動に欠かせないビザの種類
シンガポールで転職活動を行う際、まず自分の職務内容・給与水準・目的に合ったビザを把握することが不可欠です。主な就労ビザの概要を以下の表で確認してください。
| ビザ種類 | 対象者 | 最低月給(2025年〜) | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| Employment Pass(EP) | 専門職・管理職・経営層 | S$5,600〜(金融S$6,200〜) | 初回2年/更新3年 |
| S Pass | 中程度の技能を持つ労働者 | S$3,300〜(金融S$3,800〜) | 初回2年/更新3年 |
| EntrePass | 起業家・スタートアップ創業者 | 規定なし(事業審査あり) | 初回1年/更新2年 |
| Work Holiday Pass | 日本など対象国の学生・若手 | 規定なし | 最大6ヶ月 |
転職活動においては、EPまたはS Passが主な選択肢となります。いずれも雇用主からのスポンサーが必要であり、内定取得後に雇用主がMOM(シンガポール人材省)へ申請を行う流れとなります。EntrePassは転職ではなく起業を目的とする方向け、Work Holiday Passは短期就業・探索目的の若手向けです。
シンガポール転職に必要なビザの種類と特徴

シンガポールの転職活動で取得を検討する主な就労ビザはEmployment Pass(EP)とS Passの2種類です。自分のスキルレベルや給与水準がどちらに該当するかを理解したうえで、応募先企業を選定することが転職成功の第一歩となります。なお、2023年9月からEPの申請にはCOMPASS(ポイント制審査)が導入されており、給与水準だけでなく学歴・企業の国籍構成など複数の要素が評価されます。


エンプロイメントパス(EP)の詳細と最新要件

Employment Pass(EP)は、シンガポールで就労するための最も一般的な就労ビザで、専門職・管理職・経営層を主な対象としています。駐在員や現地採用の日本人の多くがこのビザを取得しています。
EPの申請要件
EPを申請するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
① 給与要件(2025年1月以降)
申請者の月額固定給与が、MOMが年齢別に定めた最低基準を上回っていることが必要です。2025年1月以降の新規申請では、金融サービス業以外で月額S$5,600(約63万円)以上、金融サービス業ではS$6,200(約70万円)以上が基準となります。なお年齢が上がるにつれて必要給与額も増加し、45歳以上では一般業種でS$10,500(約119万円)超、金融業種でS$11,500(約130万円)超が求められます。
② COMPASS評価(40点以上)
2023年9月から新規申請、2024年9月から更新申請にも全面適用されているポイント制審査です。6つの項目で評価され、合計40点以上を獲得しなければ申請できません。
■ COMPASSの審査項目(合計40点以上でEP申請可)
| 項目 | 評価基準 | 最大点 |
|---|---|---|
| C1 給与 | 同業種ローカルPMET上位10%以内で20点 | 20点 |
| C2 学歴 | MOM認定トップ校卒業で20点 | 20点 |
| C3 国籍多様性 | 社内の国籍構成バランス(同国籍比率が低いほど高得点) | 20点 |
| C4 ローカル雇用促進 | 同業種比でのシンガポール人PMET雇用率 | 20点 |
| C5 スキルボーナス | 人材不足職種への該当 | 20点 |
| C6 戦略的経済優先ボーナス | 政府の優先産業プログラム参加企業 | 10点 |
※C3・C4は従業員数25名未満の企業には各10点が自動付与。月給S$22,500以上・社内転勤・雇用期間1ヶ月以内の場合はCOMPASS免除。
日本人求職者が特に注意すべき点として、C3(国籍多様性)があります。日系企業では日本人比率が高くなりがちで、この項目が0点になるケースが少なくありません。応募先企業の国籍構成を事前に確認し、COMPASSスコアに余裕がある企業を選ぶことが重要です。また、C2(学歴)では、MOMが認定するトップ大学の卒業生は20点を獲得できます。日本からは東京大学・京都大学・大阪大学・東北大学・東京工業大学・慶應義塾大学・早稲田大学の7校が認定されています。
EPの主な利点として、初回2年・更新後3年の長期就労が可能なこと、月給S$6,000以上であれば配偶者・子どものDependant's Pass(家族帯同ビザ)申請が可能なこと、そして就労期間中に他社への転職活動も認められていることが挙げられます。
注意
EP申請時には英文卒業証明書が必要で、さらに第三者機関による真偽確認プロセスが発生します。取得に数週間かかる場合があるため、転職活動を始める前に早めに手配しておくことを強くお勧めします。また、EPの要件・給与基準は毎年改定される傾向があるため、申請前には必ずMOM公式サイトで最新情報を確認してください。
参考: シンガポールの就労ビザ大全ーシンガポールEP・Sパス情報網羅 - Global Gateway Advisors
Sパスの必要要件と利用条件

S Passは、中程度の技能を持つ外国人労働者を対象とした就労ビザです。EPの給与基準に満たない場合でも、専門的なスキルと一定の給与水準を持つ方が対象となります。エンジニア・ITプロフェッショナル・セールス・デザイナーなど幅広い職種で活用されています。
S Passの申請要件(2025年9月以降)
月額固定給与が、金融サービス業以外でS$3,300(約37万円)以上、金融サービス業ではS$3,800(約43万円)以上が必要です。また年齢に応じて必要給与額が上がる仕組みになっており、45歳以上ではS$4,650以上が求められます。EPと同様にCOMPASS評価(40点以上)も必要です。
企業側のQuota(雇用枠)制限として、S Pass保持者の雇用数は会社全体の従業員数に対してサービスセクターで10%、その他のセクターで15%が上限となっています。この枠が満員の場合、企業はS Passの申請ができないため、求職者は応募前に雇用主に枠の空きがあるか確認することが重要です。
また企業には、S Pass保持者1名につき月額S$650のLevy(外国人雇用税)の支払い義務があります(2025年9月以降)。この費用負担から、S Passよりも条件が合えばEPを選ぶ企業も多いのが実情です。
S Passの主な利点は、初回2年・更新後3年の長期就労が可能なこと、配偶者・子どものDependant's Passの申請ができること、そして就労中の転職活動も認められていることです。
要点まとめ
S Passは2025年9月以降、一般業種でS$3,300以上(金融S$3,800以上)の月給が必要です。企業ごとのQuota制限があるため、応募前に枠の空きを確認しましょう。取得後は長期就労・家族帯同・転職活動が可能で、幅広い職種で活用されています。
その他のビザオプションの概要

EP・S Pass以外にも、状況に応じて検討できるビザがあります。転職目的ではなく起業・高収入・短期滞在を目的とする方に向けた選択肢です。
EntrePass(アントレパス)は、シンガポールで新たにビジネスを立ち上げる起業家向けのビザです。革新的なビジネスモデルや技術を持ち、シンガポール経済への貢献が認められる事業計画が審査されます。初回1年・更新時2年の有効期間があり、事業の進捗報告が義務付けられています。
Personalised Employment Pass(PEP)は、月給S$22,500(約254万円)以上の高収入EP保持者が申請できる特別ビザです。最大の特徴は、PEP自体が個人に紐づいているため、転職しても新たにビザを申請し直す必要がない点です。さらに最長6ヶ月間は無職でもシンガポールに滞在できます。有効期間は最大3年で、一度しか発行されません。
Work Holiday Passは、日本・オーストラリア・フランスなど特定の対象国の学生や若手プロフェッショナルが最大6ヶ月間就業・観光できるビザです。シンガポールでの就業体験や転職先探索を目的とした短期滞在に活用されています。
ここがポイント
シンガポールの就労ビザは目的・収入・キャリアステージによって最適な選択肢が異なります。転職ならEP・S Pass、起業ならEntrePass、高収入で転職を繰り返す場合はPEP、短期探索ならWork Holiday Passが候補です。まずはMOM公式のセルフアセスメントツール(SAT)で自身の状況を診断してみましょう。
シンガポールでの転職活動におけるビザ取得のポイント

シンガポールでのビザ申請を成功させるには、いくつかの重要なポイントを押さえた計画的な準備が欠かせません。まず、自分の職務内容・給与水準・学歴に合ったビザを確認し、MOMの公式セルフアセスメントツール(SAT)で事前診断を行いましょう。次に、英文卒業証明書の第三者認証など時間のかかる書類は早めに手配することが重要です。ビザの発行には最短でも1ヶ月、場合によっては3ヶ月程度かかるため、内定取得後すぐに雇用主と連携して手続きを開始することが求められます。また、シンガポールの労働市場に精通した転職エージェントを活用することで、COMPASSスコアの観点から有利な企業への紹介や、申請手続きのサポートを受けることができます。
ここがポイント
ビザ申請は内定後すぐに動き出すことが重要です。SATでの事前診断・英文証明書の早期手配・雇用主との密な連携・転職エージェントの活用という4つのポイントを押さえることで、スムーズなビザ取得につながります。
ビザ取得プロセスの全体的な流れ

シンガポールの就労ビザ(EPおよびS Pass)の取得は、以下のステップで進みます。全体のプロセスを把握したうえで、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
1. 適切なビザの選択
自分の職務内容・給与水準・学歴に合ったビザを確認します。MOM公式のセルフアセスメントツール(SAT)を活用すれば、EPまたはS Passのどちらが適切か、COMPASSスコアの概算も事前に確認できます。
2. 雇用主との連携・求人広告の掲載
シンガポールでのビザ申請は原則として雇用主が行います。従業員数が10名を超える企業は、EP・S Pass申請の前に政府運営の求人ポータル「MyCareersFuture.gov.sg」で少なくとも14日間の求人広告掲載が義務付けられています。掲載期間中にシンガポール人から応募があった場合、雇用主はその方を採用検討する必要があります。
3. 必要書類の準備
一般的に必要な書類は、有効なパスポートのコピー・英文履歴書・英文学歴証明書(第三者機関による認証が必要)・職務経歴書・内定通知書などです。学歴証明書の取得・認証には数週間かかる場合があるため、早めに手配することを強くお勧めします。
4. 申請手続きの進行
雇用主がMOMのオンラインシステム(myMOMポータル)を通じて申請を行います。申請料はEPがS$105、S PassがS$60です。申請後、MOMから職務の専門性や候補者選定理由などの追加説明を求められる場合があり、通常2週間以内の回答が必要です。
5. ビザの取得と就業開始
申請が承認されると仮承認通知(IPAレター)が発行されます。IPAレターに基づきシンガポールへ入国し、指紋登録などの手続きを経てEP/S Passカードが発行されます。ビザの有効期限・条件を確認し、就業を開始します。
参考: Apply for an Employment Pass - Ministry of Manpower Singapore
働きたい企業とのマッチングの重要性

シンガポールの転職活動において、企業との適切なマッチングはビザ取得の可否に直結します。EPの申請はCOMPASSの企業属性項目(C3国籍多様性・C4ローカル雇用促進)が評価に含まれるため、応募者本人のスキルや給与だけでなく、応募先企業のCOMPASSスコア状況も重要な選択基準になります。
特に日系企業では、社内の日本人比率が高くC3(国籍多様性)で0点になるケースが少なくありません。転職エージェントを活用することで、COMPASSスコアに余裕がある企業や、外国人雇用枠に余裕のある企業への紹介を受けられる可能性が高まります。
マッチング精度を高めるための主なポイントとして、自己分析(スキル・経験・価値観の整理)と企業研究(事業内容・国籍構成・求める人材像の調査)を組み合わせ、面接では自分の強みと企業のニーズの一致点を具体的に伝えることが重要です。スキルセットが企業の要求と合致しているかどうかは、ビザ審査においてもMOMの判断材料となります。
面接準備と文化的な違いの理解

シンガポールでの転職活動において、面接準備と文化的な違いへの理解は採用可否を大きく左右します。以下のポイントを押さえることで、面接での印象を高め、採用の可能性を引き上げましょう。
面接準備のポイント
自分のスキルや経験を明確に整理し、応募先企業の事業内容・文化・求める人材像を徹底的に調査しましょう。シンガポールの企業は履歴書・職務経歴書の内容を重視するため、具体的な成果や数字を盛り込み、簡潔かつ明確に実績を伝えることが重要です。また、模擬面接を通じて質問への回答や自己PRを事前に練習しておくことで、本番の緊張を和らげることができます。
英語での面接対策
シンガポールのビジネス面接は基本的に英語で行われます。流暢さよりも「明確さ」と「論理的な構成」が重視される傾向があるため、自分の実績をSTAR形式(状況・課題・行動・結果)で整理して伝える練習が効果的です。
シンガポール特有の文化的な違い
時間厳守はシンガポールのビジネス文化において特に重視されます。面接やミーティングには必ず時間通りに到着するよう心掛けましょう。また、シンガポールは中国系・マレー系・インド系など多民族・多文化が共存する社会であり、異なる文化や宗教への理解と尊重がビジネスシーンでの信頼構築につながります。面接官の出身背景に応じた配慮ができると、より良い印象を残せます。
面接時のコミュニケーションでは、自分の意見を明確かつ直接的に伝えることが求められます。日本のビジネスシーンで一般的な遠回しな表現や過度な謙遜は、シンガポールでは消極的・不明瞭と受け取られる場合があります。積極的な姿勢と具体的な質問の準備が、企業への関心と理解度を示す有効な手段となります。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 自己分析 | 自分のスキルを明確にする |
| 企業研究 | 応募先の文化やニーズを調べる |
シンガポール転職 ビザ取得時の注意点と対策

ビザ申請において失敗につながる原因の多くは、「書類の不備」「期限の遅延」「情報の不正確な提供」の3点に集約されます。これらのリスクを事前に理解し、計画的に対処することがスムーズなビザ取得への近道です。また、申請後も定期的な状況確認や追加書類への迅速な対応が求められます。
ビザ申請の用意と書類の確認事項

EPおよびS Pass申請に一般的に必要な書類と、各書類でよくある失敗例を以下にまとめます。
パスポートのコピー
有効期限が申請時点で6ヶ月以上(S Passは7ヶ月以上)残っていることが必要です。期限が迫っている場合は申請前に更新を済ませましょう。パスポート更新には時間がかかることがあるため、早めの確認をお勧めします。
英文履歴書・職務経歴書
職務内容や成果を具体的な数字を交えて記載します。日本語の履歴書をそのまま翻訳するのではなく、シンガポールの採用基準に合わせた構成・内容に書き直すことが重要です。
英文学歴証明書(第三者機関による認証が必要)
MOMが認定する機関による真偽確認(Verification)が必要です。認証の取得には数週間かかるため、転職活動を始める段階で早めに手配しましょう。非英語の証明書には信頼できる翻訳者による英訳と翻訳証明の添付が必要です。
給与明細書・雇用契約書のコピー
直近の給与明細書と現在の雇用契約書を用意します。給与水準がビザ基準を満たしているかの証明として重要です。契約書は最新のものであることを確認してください。
内定通知書
雇用主から発行された正式な内定通知書が必要です。記載内容(職務・給与・開始日など)に誤りがないか事前に確認しましょう。
申請書類全体を通じて、情報の正確性が最重要です。虚偽の情報を提供した場合、ビザの取り消しや再入国禁止などの厳しい処分を受ける可能性があります。また、各手続きには期限が設けられているため、スケジュールをカレンダーに記入し余裕を持って対応することが大切です。



ビザ申請後のフォローアップ方法

ビザ申請が承認された後も、スムーズな就業開始に向けていくつかの重要な手続きが残っています。各ステップを順に確認しましょう。
1. IPAレター(仮承認通知書)の受領と確認
申請が承認されるとMOMから仮承認通知書(IPAレター)が発行されます。受領後は、氏名・パスポート番号・職務内容などの個人情報に誤りがないか確認します。また、入国手続きの期限が明記されているため、期限内に行動できるよう早めにスケジュールを調整しましょう。
2. 健康診断の受診
IPAレターに健康診断の受診が必要と記載されている場合、指定された医療機関での受診が必要です。結果がビザ要件を満たしているか確認し、必要に応じて追加検査を受けましょう。
3. ビザカードの正式発行
健康診断に問題がなければ、MOMで写真撮影と指紋登録を行い、EP/S Passカードが発行されます。ビザの有効期限・条件を再度確認し、問題がないかチェックします。
4. 入国・就業開始の準備
ビザ発行後、シンガポールへの入国手続きを行います。入国時にはIPAレター・健康診断書・雇用契約書などの必要書類を携帯し、入国審査で提示できるよう準備しておきます。就業開始前のオリエンテーションや研修がある場合は積極的に参加し、現地の業務環境・企業文化への理解を深めましょう。
5. 就業開始後のビザ管理
就業開始後も、ビザの有効期限と更新タイミングを定期的に確認することが重要です。EPは初回2年、更新後は3年ごとに更新手続きが必要です。更新申請にもCOMPASSが適用されるため、自身のスコア状況を把握しておきましょう。ビザの条件が変わる場合もあるため、MOM公式サイトで常に最新情報を確認する習慣をつけることをお勧めします。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 仮承認の確認 | 情報の正確性を確認 |
| 健康診断 | 指定医療機関で受診 |
| 入国手続き | 必要書類を準備 |
ここがポイント
ビザ取得はゴールではなくスタートです。IPAレターの期限確認・健康診断・カード発行・更新管理まで、一連のプロセスを計画的に進めることがシンガポールでの安定した就業継続につながります。
シンガポール転職活動 ビザの今後の展望

シンガポールの就労ビザ制度は、政府の「Strong Singaporean Core」方針のもと、2020年以降一貫して厳格化の方向で改定が続いています。2023年のCOMPASS導入、2025年以降の給与基準引き上げはその流れの一環であり、今後も段階的な見直しが続くと見られています。一方で、IT・金融・グリーンエネルギーなど政府が優先する戦略産業では、高スキル人材への需要が依然として高く、COMPASSのボーナス項目(C5・C6)を通じて優遇される仕組みも整備されています。制度変化を正確に把握しながら、自身のスキルや給与水準を高めていくことが、今後のシンガポール転職活動における最重要戦略となります。
最近の法改正と制度変更

近年のシンガポール就労ビザに関する主な制度変更を時系列で整理します。転職活動を計画している方は、どの時点のルールが自分に適用されるかを必ず確認してください。
2023年9月:COMPASS新規EP申請に適用開始
EP申請にポイント制審査「COMPASS」が導入されました。給与(C1)・学歴(C2)・国籍多様性(C3)・ローカル雇用促進(C4)の4基礎項目と、スキルボーナス(C5)・戦略的経済優先ボーナス(C6)の2ボーナス項目で評価され、合計40点以上が必要です。
2024年9月:COMPASS更新申請にも全面適用
それまで新規申請のみに適用されていたCOMPASSが、EP更新申請にも全面適用されました。既存のEP保持者も更新時に40点以上を獲得する必要があり、長期就労中の方も自身のスコア状況を定期的に確認することが重要です。
2025年1月:EP・S Pass給与基準の引き上げ(新規申請)
EP新規申請の最低月給が一般業種でS$5,600(金融業種S$6,200)に引き上げられました。S Pass新規申請の最低月給は2025年9月から一般業種でS$3,300(金融業種S$3,800)に引き上げられています。いずれも年齢に応じた加算があります。
2026年1月:EP・S Pass給与基準の引き上げ(更新申請)
2025年1月に新規申請へ適用された給与基準が、更新申請にも適用される予定です。現在EP・S Passを保持している方は、更新時に新基準を満たす給与水準であるかを事前に確認しておく必要があります。
2026〜2027年:職場公平法(WFL)の施行予定
シンガポールでは「Workplace Fairness Legislation(WFL:職場公平法)」の法制化が進んでいます。2024年11月に第1次法案が国会に提出され、2025年中に第2次法案が提出される予定です。2026年〜2027年にかけて施行される見込みであり、採用・雇用における差別禁止が法律として明確に規定されます。外国人求職者にとっては、公正な採用プロセスが法的に保護される一方、企業側にはシンガポール人への公平な採用機会の提供がより強く求められるようになります。
ここがポイント
COMPASS・給与基準・職場公平法と、シンガポールの就労ビザ制度は2023年以降に大きく変化しています。制度改定は毎年のように行われるため、転職を検討する際は必ずMOM公式サイトで最新情報を確認することを習慣づけましょう。
注意
本記事の数値・制度内容は執筆時点の情報に基づいています。給与基準やCOMPASSの評価項目は毎年改定される可能性があります。実際の申請前には必ずMOM(シンガポール人材省)の公式サイトで最新情報をご確認ください。
参考: 【2026年】シンガポールの労働法 〜雇用契約・労働時間・賃金・休暇など 徹底解説〜 - SingaLife Biz
海外移住者に対する支援体制の強化
シンガポール政府は外国人労働者の受け入れを精鋭化する一方で、就労・定住を希望する高スキル人材への支援体制も充実させています。転職活動を進める際に活用できる主な支援の枠組みを紹介します。
Personalised Employment Pass(PEP)による転職の柔軟性
月給S$22,500以上のEP保持者が申請できるPEPは、転職しても新たにビザを申請し直す必要がなく、最長6ヶ月の無職期間中もシンガポールへの滞在が認められます。シンガポールでキャリアアップを続けながら転職活動を行いたい高収入層にとって、特に有効な選択肢です。
海外派遣プログラム(OMIP)の活用
シンガポール政府が導入したOMIP(Overseas Markets Immersion Programme)は、シンガポール企業の従業員が海外市場での就業経験を積むことを奨励するプログラムです。シンガポール企業への転職後にOMIPを通じて海外経験を積むことができ、グローバルなキャリア形成を目指す方にとって魅力的な制度となっています。
転職エージェントによるサポート
シンガポールには日系・外資系を問わず多数の転職エージェントが存在し、求人紹介・面接対策・ビザ申請サポートまで幅広い支援を提供しています。特にシンガポールの労働市場に精通したエージェントは、COMPASSスコアの観点から申請しやすい企業を紹介できるなど、制度を熟知したサポートが期待できます。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 経済政策 | ビザ要件や受け入れ態勢に影響を与えるため、注視することが重要。 |
| 最新情報 | 常に情報をアップデートし、柔軟に対応することが成功のカギ。 |
ここがポイント
ビザ制度の厳格化が続くシンガポールでも、高スキル人材・戦略産業従事者・高収入層には柔軟な制度が用意されています。PEPやOMIPなどの支援制度を把握し、転職エージェントと連携しながら自分に最適なキャリアパスを描いていきましょう。
筆者からのコメント
シンガポールの就労ビザは制度変更が頻繁です。「以前の情報」に基づいて動くと、給与基準や申請要件が変わっていることも少なくありません。求職活動を始める際は、必ずMOM公式サイトで最新情報を確認する習慣をつけましょう。