チョンブリーの営業13件|扱う商材が全部違う

チョンブリーはバンコクの南東、車でおよそ1時間半の距離にある県です。アマタシティをはじめとする大規模な工業団地が集まり、日本人が多く住むシラチャの街もこの県にあります。タイで働く日本人にとって、バンコクに次いで選択肢が多い場所です。
そのチョンブリーで募集されている営業職を13件、一つずつ開いてみました。まず目につくのが、扱っている商材がほとんど重なっていないことです。
技術サービス、包装材、金属パイプ、自動車部品、産業機械、特殊鋼材、ITソリューション、不動産仲介、印刷とWEB制作、電子部品、加工品、建設機械。13件が12の分野に分かれていて、同じ商材を扱う会社は特殊鋼材加工メーカーの2件(営業職と拠点責任者職)だけです。
これがバンコクの営業求人との違いです。バンコクだと人材、保険、不動産、コンサルティングといった無形サービスの営業が一定数を占めますが、チョンブリーは工業団地の顧客に何かを納める仕事がほとんどを占めます。顧客は日系メーカーの工場で、相手は購買や技術の担当者。そういう構図で仕事が動きます。
裏を返すと、自分がこれまで扱ってきた商材に近いものを探しやすいということでもあります。13件が別々の分野に散っているということは、それだけ入口の種類が多いということです。
車がないと成立しない仕事|ドライバー付きが6件、原付貸与という求人も

チョンブリーの営業を考えるとき、避けて通れないのが移動の問題です。工業団地は広く、顧客の工場は点在していて、バンコクのように電車で回ることはできません。
13件のうち11件が、福利厚生欄に社用車か通勤支援について書いています。そのうち6件は運転手が付きます。包装材メーカーは「社用車貸与(運転手付き / 希望により調整可 *通勤時のガソリンも会社負担)」、金属パイプメーカーは「通勤や企業訪問時はドライバー付き」、産業機械専門商社は「通勤サポート(通勤時、訪問時に専属ドライバー有)」、加工メーカーは「通勤サポート(社用車自走 or ドライバー / 乗り合い等)」という書き方です。
さらに電子部品商社は「運転手付き社用車あり(営業時のみ使用。通勤には使用不可)」に加えて「日本人専用の送迎車あり(基本的にはアマタナコンに勤務している日本人は全員送迎車で通勤しています)」と、営業と通勤で別々の手段を用意しています。印刷とWEB制作の会社も「ナワナコンまでの通勤サポート(社用車ドライバ―付き)」を挙げています。
自分で運転する求人もあります。自動車部品メーカーは「営業車は社有車(ドライバーなし)」と明記し、通勤を自走する場合はガソリン代の手当が出るとしています。建設機械メーカーは「営業車(自走/社用車付与)」で、通勤は「自家用車での通勤の場合は距離に応じて交通費支給」です。
変わっているのが不動産仲介の求人で、「通勤補助(自走/原付スクーター1年間無償貸与可能)」と書いています。物件の内見に回る仕事なので、小回りのきくバイクという選択肢が用意されています。
運転免許を必須条件に挙げているのは3件です。技術サービス企業が「自動車免許」、特殊鋼材加工メーカーの営業職が「自動車免許(自走できる方)」、不動産仲介が「普通自動車の運転が可能な方(タイ国内での運転必須)」。ほかにも歓迎条件で運転免許に触れている求人が複数あります。
運転に不安があるなら、ドライバー付きの6件から見ていくのが現実的です。逆に運転できるなら、選べる求人が一気に増えます。
英語ビジネスレベルが4件|数字だけ見ると比率は高い

語学要件を整理すると、英語ビジネスレベルが4件、日常会話レベルが6件、初級レベルが1件、指定なしが2件です。
ビジネスレベルを求めている4件は、技術サービス企業、金属パイプメーカー、電子部品商社の営業マネジャー職、そして建設機械メーカーです。電子部品商社は「英語ビジネスレベル(社内でのメール等は英語になりますので実務レベルの英語力が必要となります)」と、なぜ必要かまで書いています。社内の共通言語が英語になっている会社では、顧客対応だけでなく日常業務で英語が要るということです。
金属パイプメーカーはさらに踏み込んでいて、必須条件に「海外出向が出来る方(ベトナム、インド、チェコなど)」を入れています。チョンブリーの営業職でありながら、他国への出向が前提に含まれている求人です。
建設機械メーカーは「英語:ビジネスレベル以上」に加えて「タイ在住の方」も必須にしています。すでにタイにいる人を想定した募集です。
13件のうち4件がビジネスレベルというのは、割合で見ると3割強。ただし母数が13件なので、ここから傾向を断定するのは早計です。個別の求人の書き方を見るほうが確実だと思います。
一方で「語学不問」「言語不問」の求人も2件ある

同じチョンブリーの営業のなかに、語学をまったく問わない求人も混じっています。
ひとつは包装材メーカーの営業職で、求人タイトルに「語学不問!業界未経験可・シラチャ―勤務」と入れています。必須条件は「就労経験1年以上」と「土曜日勤務可能な方 (月3回土曜日出勤、有給休暇年10日あり)」の2つだけ。英語のレベル欄もLevel 6 - Noneです。語学は歓迎条件に「英語またはタイ語が日常会話レベル以上」として置かれているだけです。
もうひとつは自動車部品メーカーの営業マネージャー職で、タイトルに「言語不問/チョンブリ」と入っています。必須条件は「自動車部品業界での営業経験(特に電子部品、基板関連の営業経験)」の1つだけ。語学は歓迎条件の「タイ語または英語での社内コミュニケーションが可能な方」にとどまります。
もう1件、語学のハードルを自分から下げている求人があります。シラチャのIT企業のソリューション営業職で、必須条件が「英語もしくはタイ語でコミュニケーションが取れる方(入社後に学ぶ意欲があれば応募時に達していなくても問題ありません!)」という書き方です。応募時点で足りていなくてもよいと明言しています。
営業は言葉が仕事の道具になる職種なので、語学要件が軽い求人は貴重です。この3件は、商材の知識や業界経験のほうを重く見ているということでもあります。
年間休日97日から114日|数字が出る5件で17日の差

休日の条件は求人票のなかでもっとも見落とされやすく、入社後の満足度にもっとも効いてくる項目です。チョンブリーの営業13件では、年間休日の日数を数字で書いている求人が5件ありました。
少ない順に、建設機械メーカーが「年間休日:97日(2023年実績)」、自動車部品メーカーが「年間休日100日」、不動産仲介が「年間休日:110日程度(週休2日+祝日年間15日前後)」、加工メーカーが「年間休日113日」、印刷とWEB制作の会社が「年間休日114日程度」。もっとも少ない求人ともっとも多い求人で17日の差があります。
ほかに特殊鋼材加工メーカーの2件が「年間労働日数245日」と書いていて、これは年間休日に直すとおよそ120日にあたります。
日本の年間休日は厚生労働省の調査で労働者1人平均115日前後、完全週休2日に祝日と年末年始が加わる大企業で120日前後です。97日という求人は、日本の水準からすると2週間半から3週間ほど少ない計算になります。
月給の額だけを横に並べて比べると、この差はまったく見えません。年間の労働日数まで含めて1日あたりに直すと、印象が変わる求人もあります。
土曜出勤は年1回から月3回まで|「土曜日勤務はございません」と書く求人も

年間休日の差は、そのまま土曜出勤の頻度の差です。13件を並べると、これが見事にばらけています。
まず、休日欄に土曜出勤の記載がまったくない求人が4件あります。特殊鋼材加工メーカーの2件は「年間労働日数245日」で、土曜出勤なしが前提の日数です。
記載がある求人のなかでもっとも少ないのが技術サービス企業で、「*年に1度イベント土曜日出勤あり。イベントがあるため。」という書き方。年に1回だけです。次が加工メーカーの「土曜(月1回の出社日あり)」、金属パイプメーカーと建設機械メーカーの「月2回」、自動車部品メーカーの「隔週土曜日出勤 (併設工場のカレンダーに準拠)」と続きます。
もっとも多いのが包装材メーカーで「月3回土曜日出勤」。しかもこれは必須条件のなかに「土曜日勤務可能な方」として明記されていて、応募の段階で確認を求めています。
逆に、土曜出勤がないことをわざわざ書いている求人もあります。電子部品商社の営業マネジャー職で、休日欄に「※土曜日勤務はございません。」とあります。工業団地の営業職では土曜出勤が当たり前になっているからこそ、ないことが売りになるという構図です。
自動車部品メーカーの「併設工場のカレンダーに準拠」という一文が、この事情をよく表しています。営業職であっても、工場が動く日には合わせて動く。これがチョンブリーの標準的な形です。
水曜が休みの営業がある|不動産という例外

13件のなかで、休日の形そのものが違う求人が1件あります。
日系の不動産仲介・賃貸・売買企業の営業職で、休日欄には「■完全週休2日制(水曜+平日もう1日)」と書かれています。土日ではなく、水曜ともう1日の平日が休みです。
理由は明快で、物件を探しに来るお客さんが動くのが週末だからです。日本の不動産業界でも水曜休みが一般的なのと同じ事情がタイでも成り立っています。
この求人は休日以外にも独特な点があります。給与は50,000〜80,000バーツにコミッションが加わる設計で、必須条件は「営業または接客経験」「英語またはタイ語で社内コミュニケーションが可能な方(英語はTOEIC600前後目安)」「普通自動車の運転が可能な方(タイ国内での運転必須)」の3つ。歓迎条件には不動産業界経験のほか、「保険、人材、ディーラー等の提案型営業経験」「顧客との継続フォロー型営業経験」「クレーム対応経験」と、営業の型を細かく挙げています。
福利厚生に「タイ語教室学費補助」があるのも、ローカルの顧客と直接やり取りする仕事だからです。工業団地のBtoB営業とはまったく別の働き方になるので、休日の形も含めて自分の生活に合うかを考えておく必要があります。
未経験からの入口が2つある

営業職は経験者が優先される職種ですが、13件のなかに未経験から入れる道が2つありました。
ひとつは先に触れた包装材メーカーで、タイトルに「業界未経験可」と入れています。必須条件は就労経験1年以上と土曜勤務が可能なことだけ。営業経験そのものは歓迎条件で「製造業での営業もしくは技術営業の経験をお持ちの方」として挙げられているにすぎません。経験レベルの欄も「ジュニアレベル、シニアレベル」と幅を持たせています。
もうひとつは印刷とWEB制作の会社の常駐提案営業職で、必須条件の書き方が変わっています。「営業もしくはディレクションの経験が3年以上ある方(広告代理店、メディア、制作、マーケティング、デザイン、WEB、印刷業界など) or タイ語ネイティブ(日本語可能)の方であれば未経験から応募可能」。営業やディレクションの経験がなくても、タイ語ネイティブで日本語ができれば応募できるという設計です。ただし同じ必須条件のなかに「就労経験5年以上」と「英語準ビジネスレベル」も並んでいるので、まったくの社会人未経験で入れるという意味ではありません。
金属パイプメーカーの営業職も、経験レベルの欄に「新卒採用OK、ジュニアレベル、シニアレベル、未経験OK」と入っています。ただしこちらは必須条件に「大学卒業以上」「英語力ビジネスレベル」「海外出向が出来る方」があるので、語学と柔軟性で代わりを求めていると読むべきです。
残りの求人は営業経験3年から5年を必須にしているものが中心です。全体としては経験者向けですが、入口が完全に閉じているわけではありません。
賞与0か月から5か月|月給だけでは見えない差

月給の額を横に並べて比べると、実際の年収とはかなりずれます。チョンブリーの営業13件は、賞与の書き方に大きな差がありました。
もっとも高いのが金属パイプメーカーの「賞与(平均約5か月分)」。次が建設機械メーカーの「賞与(昨年実績4か月)」、産業機械専門商社の「賞与(年1回 / 2024年度実績3カ月)」、印刷とWEB制作の会社の「賞与(2025年:3.1ヶ月 期末10月)」と続きます。
一方で低いほうを見ると、電子部品商社が「賞与:有(会社業績による。2023年平均2か月)」、自動車部品メーカーが「賞与(直近2~3ヶ月分支給実績)(実績に応じ)」、不動産仲介が「賞与(年1回 / 24年度実績1カ月)」、そしてIT企業が「賞与(年2回 / コロナ前平均2か月 / コロナ禍実績0.7~1か月)」と、時期による振れ幅まで書いています。
そして包装材メーカーは「賞与無し(基本給に含むため)」と明記しています。賞与がない代わりに月給に含めているという説明で、月給60,000〜80,000バーツという数字の意味がほかの求人とは変わってきます。
賞与5か月の求人と賞与なしの求人では、同じ月給でも年収が4割以上違います。月給のレンジだけで比較すると、この差はまったく見えません。
ほかにも年収に効く項目があります。印刷とWEB制作の会社は「日本への往復航空券支給(年に1回)」「食事手当(50THB / 日)」、電子部品商社は「帰国手当あり (本人の航空チケット代の一部を会社負担。入社2年目以降から適用)」、IT企業は「住宅手当(月5,000THB / 一般社員・アシスタントマネージャーレベル)」と、それぞれ独自の手当を用意しています。
月給5万〜16万バーツ|レンジの決まり方

給与のレンジは、下限がもっとも低いもので50,000バーツ、上限がもっとも高いもので160,000バーツです。
上限160,000バーツは特殊鋼材加工メーカーの拠点責任者職(130,000〜160,000バーツ)で、これは営業というより経営幹部のポジションです。必須条件に「MD経験」「自動車業界での経験」が入っています。
純粋な営業職のなかでもっとも高いのが電子部品商社の営業マネジャー職(100,000〜150,000バーツ)。必須条件は「英語ビジネスレベル」「基板実装経験者」「マネジメント経験のある方(最低3年以上)」の3つで、語学とマネジメントと技術知識の3つが揃って初めて到達する水準です。次が加工メーカーの営業マネージャー/GM職(80,000〜120,000バーツ)で、こちらは「営業経験5年以上(製造業 or 商社:工業用品を扱っていた方)」「図面が理解できる方」が必須です。
下限50,000バーツの求人は3件。技術サービス企業(50,000〜100,000バーツ)、金属パイプメーカー(50,000〜70,000バーツ)、不動産仲介(50,000〜80,000バーツ)です。技術サービス企業はレンジの幅が50,000バーツと広く、経験によって大きく変わる設計になっています。
この分布から読み取れるのは、チョンブリーの営業でレンジを押し上げているのは商材の知識とマネジメント経験だということです。「図面が理解できる」「基板実装経験者」「PCB関連の経験」といった条件が並ぶのは、顧客が工場の技術者だからです。営業のスキルだけでは上の階層に届きにくい構造になっています。
ビザ・就労許可と、応募前に整理しておきたいこと

タイで働くには、就労ビザ(ノンイミグラントB)と労働許可証(ワークパーミット)の両方が必要です。ビザは本人が申請しますが、その際に雇用主が労働局から取得する就労事前承認書(WP3)などの書類が必要になるため、採用が決まらないうちに個人だけで進めることはできません。労働許可証は入国後に申請しますが、委任状によって雇用主や代行業者が手続きを進めるのが実務上は一般的です。
今回の13件はほとんどが福利厚生欄に「ビザ、労働許可証支給」と書いていますが、1件だけ「ビザ、労働許可証要相談」という表記の求人があります。また、シラチャのIT企業は「ビザ、労働許可証支給(帯同したご家族分も支給)」「海外医療保険(帯同したご家族分も支給)」と、家族帯同を前提にした書き方をしています。家族と一緒に行くことを考えているなら、ここを見ておく価値があります。
もう一点、チョンブリーで働くなら住まいをどこにするかが大きな論点になります。シラチャには日本人コミュニティがあり、日本食のレストランやスーパー、日本人学校も揃っています。家賃はコンドミニアムで月1万バーツ前後から、バンコク中心部の半額程度で同等以上の広さが借りられます。一方でバンコクに住んで通う選択肢を用意している会社もあるので、求人票の通勤支援の書き方を確認してください。
応募前に整理しておくと動きやすいのは、次の3点です。第一に、扱ってきた商材の具体名。13件が別々の分野に散っているので、自分の経験に近いものを探すことが出発点になります。第二に、運転できるかどうか。免許があるかないかで選べる求人の数が変わります。第三に、休日の許容範囲。土曜出勤が年1回の会社と月3回の会社では、生活がまるで違います。
下のリストは実際に募集されている求人です。条件は随時更新されるので、気になるものがあれば詳細ページで最新の内容を確認してみてください。

タイ & チョンブリー & 営業/セールスエンジニア & 現地在住者歓迎 & 新卒採用OK & メーカー(その他)の転職求人
