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タイでマーケティング・PR職に転職したAさんに聞く|現地で働くリアルと仕事の魅力

目次

    タイでマーケティング・PR職に転職したAさんに聞く|現地で働くリアルと仕事の魅力

    「海外でマーケティングの仕事をしてみたい」「でも、現地で実際どんな働き方になるのか想像がつかない」——そんな人は多いはずです。給与や求人票を眺めても、毎日の仕事のリアルまでは見えてきません。

    そこで今回は、日本からタイへ渡り、現在バンコクの企業でマーケティング・PR職として働くAさん(29歳・女性・タイ歴2年)に話を聞きました。日本での経歴、転職のきっかけ、1日の仕事、最初の壁、タイ人チームとの協働、そして仕事の魅力まで——できるだけ具体的に語ってもらっています。読み終える頃には、海外マーケ転職が少し「自分ごと」になっているはずです。

    Aさんのプロフィール

    29歳の女性。タイ歴は2年目で、バンコクの日系企業で現地採用のマーケティング・PR職として働いています。前職は日本のBtoBメーカーで販促やSNS運用を担当。「もっと裁量のある環境でマーケを一気通貫でやりたい」と海外転職を決意し、独身・一人暮らしで日々奮闘中。SNS運用から広報、代理店折衝まで幅広く任されています。

    これまでのご経歴と、タイで働き始めたきっかけ

    Q. まず、日本ではどんなお仕事をされていたのですか?

    A. 「新卒で東京のBtoB系メーカーに入って、最初の2年は営業事務、そのあと販促チームに異動してSNSの運用とか展示会の準備を担当していました。マーケって言っても、本格的に戦略を立てるというより、上の人が決めたことを形にする“アシスタント寄り”の仕事でしたね。投稿を作ったり、代理店さんとやり取りしたり。

    正直、仕事自体は嫌いじゃなかったんです。ただ、3年目くらいで『このまま日本で同じ業務を続けたら、5年後の自分が想像できちゃうな』って思ってしまって。もっと裁量のある環境で、マーケを一気通貫でやってみたいなと」

    Q. 数ある選択肢の中で、なぜ「海外」、そして「タイ」だったのでしょう?

    A. 「海外は学生の頃からの憧れもあったんですけど、決め手は“成長している市場で働きたい”ってことでした。日本の市場って、正直もう大きくは伸びないじゃないですか。その点、東南アジアはまだまだ伸びていて、その熱量の中で仕事してみたかったんです。

    タイを選んだのは、わりと現実的な理由で(笑)。一つは、日系企業がすごく多くて、未経験寄りの自分でも入れる求人が実際にあったこと。もう一つは、バンコクが住みやすいこと。生活インフラも日本食も整っているので、“仕事も生活も初めての海外”を一気にやるにはハードルが低いなと。いきなり欧米でガチンコ、っていうより、タイで足場を作るほうが私には合ってると思いました」

    Q. 転職活動は、どんな流れで進めたのですか?

    A. 「タイ就職に強い転職エージェントに登録するところから始めました。日本にいながらオンラインで面談して、求人を紹介してもらって。私は『マーケかPRで、日本語が活かせて、でも英語も使う環境』っていう希望を出していました。

    期間で言うと、登録から内定まで3か月くらい。面接はほとんどオンラインで、最後だけ現地の社長と話して決まりました。決め手は、面接で『最初は大変だけど、SNSも広報も代理店の管理も全部任せるよ』って言われたこと。日本だと“その一部”しかやらせてもらえなかったので、“全部やれる”の一言に飛びつきました」

    タイでのマーケティング・PR職、1日の仕事の流れ

    Q. 出社から退社まで、1日の流れを教えてください。

    A. 「ざっくりこんな感じです」

    時間 やっていること
    9:00 出社。メールとSNSのコメント・DMチェック、当日の投稿の最終確認
    10:00 チームの朝会(タイ語+英語)。施策の進捗共有
    11:00 広告代理店とのオンライン打ち合わせ。キャンペーンの数値レビュー
    12:00 ランチ。屋台かフードコートでチームのタイ人スタッフと
    13:00 SNSコンテンツの企画・制作ディレクション、デザイナーへの指示
    15:00 プレスリリースの作成、メディア・インフルエンサーへの連絡
    17:00 数値レポートの作成、翌日の準備
    18:00 退社(残業はほぼなし。施策の山場の時だけ少し延びる)

    Q. 担当している業務の中身を、もう少し詳しく聞かせてください。

    A. 「大きく3つです。一つ目がSNS運用。FacebookとInstagram、最近はTikTokもやっていて、企画から投稿、数値分析まで見ています。二つ目が広報・PR。プレスリリースを書いて、現地メディアやインフルエンサーに連絡して、イベントを仕込んだり。三つ目が代理店の折衝で、広告運用やデザインをお願いしている代理店さんを管理する役割です。

    日本にいた頃は“SNSの投稿を作る人”だったのが、今は“何を発信して、どう広げて、いくらかけて、どんな結果が出たか”まで全部見るようになった。範囲が一気に広がりました」

    Q. 日本で働いていた頃と比べて、大きく違うと感じる点は?

    A. 「裁量とスピード感ですね。日本だと一つの施策を出すのに何回も承認が必要だったんですけど、こっちは『いいと思うならやってみて、ダメならすぐ直そう』っていう空気。失敗も含めて任せてもらえるので、成長は早いです。

    あと言語の割合。社内の会話はタイ語と英語が半々くらいで、日本人の上司とは日本語。資料は英語で作ることが多いです。最初は『えっ、全部英語?』ってビビりましたけど、マーケの英語って意外とパターンが決まっているので、半年もすれば慣れました」

    働き始めた頃の苦労と、その乗り越え方

    Q. タイで働き始めた頃、いちばん苦労したことは何でしたか?

    A. 「言語の壁……と言いたいところなんですけど、実はそれより“商習慣の違い”のほうがキツかったです。

    象徴的な失敗があって。入って2か月目に、代理店さんに『金曜までにこのデザイン出してください』ってお願いしたんです。日本の感覚で、当然金曜には来るものだと思って何も確認しなかった。そしたら金曜になっても来ない。連絡したら『あ、月曜になります』ってサラッと言われて。私のキャンペーンの予定が全部ズレて、上司に謝りに行きました」

    Q. それは焦りますね……。どう乗り越えたのですか?

    A. 「学んだのは、“締め切りは握って終わりじゃなく、途中で何回も確認する”ってことです。日本だと『金曜』って言ったら金曜なんですけど、こっちは途中のリマインドがないと優先順位が下がっちゃうことがある。悪気はないんです、文化が違うだけで。

    だから今は、お願いした翌日に『進んでますか?』、中間で『ここまでできてますか?』ってこまめに声をかける。最初は『しつこいかな』って気にしてたんですけど、むしろ向こうも助かるみたいで。“性悪説”じゃなくて“前提が違うだけ”って捉え方を変えたら、すごく楽になりました」

    Q. これから来る人が同じ壁を避けるための、ヒントはありますか?

    A. 「『日本の当たり前は通用しない』って、最初から思っておくことですね。それは悪い意味じゃなくて。時間の感覚も、報連相のやり方も、メールの返信スピードも違う。それを“遅れてる”って見るとイライラするだけなので、“こういうルールのゲームなんだ”って受け入れる。

    具体的には、大事な締め切りは絶対に口頭だけで終わらせず、チャットに残して、途中で確認する。これだけで失敗の8割は防げます」

    タイ人スタッフと働くことの難しさ・楽しさ

    Q. タイ人のチームと働く中で、コミュニケーションで工夫していることは?

    A. 「いちばん意識しているのは、“人前で絶対に叱らない”ことです。タイってメンツをすごく大事にする文化で、みんなの前でミスを指摘されると、本人はものすごく傷つくし、その後の関係もギクシャクしてしまう。だから何か言う時は必ず1対1で、しかも『ここすごく良かった、ただここだけ直そう』ってセットで伝えるようにしています。

    あと、“サバーイ(心地よい・気楽)”を大事にする空気があるので、ピリピリした管理は逆効果。雑談したり、一緒にランチに行ったり、関係を作ってからお願いごとをすると、全然動きが違うんです」

    Q. 難しさもあると思いますが、逆に「楽しい」と感じるのはどんな時ですか?

    A. 「チームがすごく温かいんですよ。お土産を配り合ったり、誕生日をみんなで祝ったり、家族みたいな距離感で。私が体調を崩した時に、スタッフがわざわざお粥を買ってきてくれたことがあって、それは本当に泣きそうになりました。

    仕事の面で楽しいのは、彼らが現地のトレンドに本当に詳しいこと。『今タイの若い子はこれが流行ってる』っていう肌感覚は、私には絶対に出せない。そこを彼らから教わって施策に活かして、数字が伸びた時は最高ですね。“一人でやってない”って感じられる瞬間が、いちばん楽しいです」

    Q. マネジメントや協働で、いちばん大きな気づきは何でしたか?

    A. 「『自分のやり方を押し付けない』ことですね。最初は日本式の進め方が正しいと思い込んでいて、それでうまくいかなかった。でも、彼らのペースや文化を尊重したうえで、こちらの期待をちゃんと伝える。この“尊重と要求のバランス”が取れるようになってから、チームが一気に動くようになりました。海外で働くって、語学以上にこの“歩み寄り”が大事なんだなって」

    タイでマーケティング・PR職として働く魅力

    Q. 改めて、タイでマーケ・PRをやる魅力は何だと感じますか?

    A. 「一つは、市場が伸びている実感を持てること。タイのSNS利用率ってすごく高くて、新しいプラットフォームもどんどん試せる。日本だと『前例がないから』で止まる施策が、こっちは『面白そうだからやってみよう』で通る。マーケターとして、これは本当に面白い環境です。

    もう一つは、任される範囲の広さ。さっきも言いましたけど、戦略から実行、分析まで全部自分で回せる。20代でこれだけ幅広く経験できるのは、日本の大きい会社だとなかなか難しいと思います」

    Q. 仕事とプライベートのバランスや、生活面はいかがですか?

    A. 「そこも大きな魅力です。残業はほとんどなくて、定時で上がって、平日でも友達とご飯に行ったりジムに行ったり。週末は近場のビーチに行ったり。日本にいた頃は終電続きで、暮らしを楽しむ余裕なんてなかったので、人生の満足度はこっちのほうが圧倒的に高いです。

    生活費も東京より抑えられるので、しっかり働いて、しっかり遊んで、それでも貯金もできる。仕事だけじゃなくて“暮らし”が手に入った感覚があります」

    Q. キャリアの面では、どんな広がりを感じていますか?

    A. 「“東南アジア全体”が視野に入ってくることですね。タイで実績を作ると、次は『東南アジア地域の担当』みたいなリージョナルなポジションも見えてくる。日本国内だけでキャリアを考えていた頃より、地図がぐっと広がった感覚があります」

    今後描いていきたいキャリア

    Q. これから数年で、描いているキャリアの目標はありますか?

    A. 「まずはこのチームで、マーケのマネージャーになること。今はプレイヤー寄りなので、ちゃんとチームを率いて、数字に責任を持つ立場になりたいです。その先は、タイだけじゃなくて東南アジア全体のマーケを見るような、リージョナルな役割に挑戦したい。

    あとは、日本とタイの“架け橋”みたいな存在になれたらいいなと思っています。日本企業がタイで成功するお手伝いをしたり、逆にタイの良いものを日本に紹介したり。両方を知っている強みを活かせる仕事をしていきたいです」

    Q. 最後に、これから海外転職を目指す読者へメッセージをお願いします。

    A. 「『完璧な準備ができてから』って思っていると、たぶん一生動けないです(笑)。私も英語はそこそこ、マーケも未経験寄りで来ました。それでも、現地で必死にやっていれば、語学もスキルも後からついてくる。

    大事なのは、“分からないことを受け入れられる素直さ”だと思います。文化も仕事のやり方も違うのが当たり前。それを面白がれる人なら、タイでのマーケ・PRは本当に楽しい仕事です。少しでも興味があるなら、まずは情報を集めて、エージェントに相談してみるところから始めてみてほしいですね」

    タイ・東南アジアの転職サポート

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    タイでマーケティング・PR職に転職したAさんに聞く|現地で働くリアルと仕事の魅力

    「海外でマーケティングの仕事をしてみたい」「でも、現地で実際どんな働き方になるのか想像がつかない」——そんな人は多いはずです。給与や求人票を眺めても、毎日の仕事のリアルまでは見えてきません。

    そこで今回は、日本からタイへ渡り、現在バンコクの企業でマーケティング・PR職として働くAさん(29歳・女性・タイ歴2年)に話を聞きました。日本での経歴、転職のきっかけ、1日の仕事、最初の壁、タイ人チームとの協働、そして仕事の魅力まで——できるだけ具体的に語ってもらっています。読み終える頃には、海外マーケ転職が少し「自分ごと」になっているはずです。

    Aさんのプロフィール

    29歳の女性。タイ歴は2年目で、バンコクの日系企業で現地採用のマーケティング・PR職として働いています。前職は日本のBtoBメーカーで販促やSNS運用を担当。「もっと裁量のある環境でマーケを一気通貫でやりたい」と海外転職を決意し、独身・一人暮らしで日々奮闘中。SNS運用から広報、代理店折衝まで幅広く任されています。

    これまでのご経歴と、タイで働き始めたきっかけ

    Q. まず、日本ではどんなお仕事をされていたのですか? A. 「新卒で東京のBtoB系メーカーに入って、最初の2年は営業事務、そのあと販促チームに異動してSNSの運用とか展示会の準備を担当していました。マーケって言っても、本格的に戦略を立てるというより、上の人が決めたことを形にする“アシスタント寄り”の仕事でしたね。投稿を作ったり、代理店さんとやり取りしたり。

    正直、仕事自体は嫌いじゃなかったんです。ただ、3年目くらいで『このまま日本で同じ業務を続けたら、5年後の自分が想像できちゃうな』って思ってしまって。もっと裁量のある環境で、マーケを一気通貫でやってみたいなと」

    Q. 数ある選択肢の中で、なぜ「海外」、そして「タイ」だったのでしょう? A. 「海外は学生の頃からの憧れもあったんですけど、決め手は“成長している市場で働きたい”ってことでした。日本の市場って、正直もう大きくは伸びないじゃないですか。その点、東南アジアはまだまだ伸びていて、その熱量の中で仕事してみたかったんです。

    タイを選んだのは、わりと現実的な理由で(笑)。一つは、日系企業がすごく多くて、未経験寄りの自分でも入れる求人が実際にあったこと。もう一つは、バンコクが住みやすいこと。生活インフラも日本食も整っているので、“仕事も生活も初めての海外”を一気にやるにはハードルが低いなと。いきなり欧米でガチンコ、っていうより、タイで足場を作るほうが私には合ってると思いました」

    Q. 転職活動は、どんな流れで進めたのですか? A. 「タイ就職に強い転職エージェントに登録するところから始めました。日本にいながらオンラインで面談して、求人を紹介してもらって。私は『マーケかPRで、日本語が活かせて、でも英語も使う環境』っていう希望を出していました。

    期間で言うと、登録から内定まで3か月くらい。面接はほとんどオンラインで、最後だけ現地の社長と話して決まりました。決め手は、面接で『最初は大変だけど、SNSも広報も代理店の管理も全部任せるよ』って言われたこと。日本だと“その一部”しかやらせてもらえなかったので、“全部やれる”の一言に飛びつきました」

    タイでのマーケティング・PR職、1日の仕事の流れ

    Q. 出社から退社まで、1日の流れを教えてください。 A. 「ざっくりこんな感じです」

    時間 やっていること
    9:00 出社。メールとSNSのコメント・DMチェック、当日の投稿の最終確認
    10:00 チームの朝会(タイ語+英語)。施策の進捗共有
    11:00 広告代理店とのオンライン打ち合わせ。キャンペーンの数値レビュー
    12:00 ランチ。屋台かフードコートでチームのタイ人スタッフと
    13:00 SNSコンテンツの企画・制作ディレクション、デザイナーへの指示
    15:00 プレスリリースの作成、メディア・インフルエンサーへの連絡
    17:00 数値レポートの作成、翌日の準備
    18:00 退社(残業はほぼなし。施策の山場の時だけ少し延びる)

    Q. 担当している業務の中身を、もう少し詳しく聞かせてください。 A. 「大きく3つです。一つ目がSNS運用。FacebookとInstagram、最近はTikTokもやっていて、企画から投稿、数値分析まで見ています。二つ目が広報・PR。プレスリリースを書いて、現地メディアやインフルエンサーに連絡して、イベントを仕込んだり。三つ目が代理店の折衝で、広告運用やデザインをお願いしている代理店さんを管理する役割です。

    日本にいた頃は“SNSの投稿を作る人”だったのが、今は“何を発信して、どう広げて、いくらかけて、どんな結果が出たか”まで全部見るようになった。範囲が一気に広がりました」

    Q. 日本で働いていた頃と比べて、大きく違うと感じる点は? A. 「裁量とスピード感ですね。日本だと一つの施策を出すのに何回も承認が必要だったんですけど、こっちは『いいと思うならやってみて、ダメならすぐ直そう』っていう空気。失敗も含めて任せてもらえるので、成長は早いです。

    あと言語の割合。社内の会話はタイ語と英語が半々くらいで、日本人の上司とは日本語。資料は英語で作ることが多いです。最初は『えっ、全部英語?』ってビビりましたけど、マーケの英語って意外とパターンが決まっているので、半年もすれば慣れました」

    働き始めた頃の苦労と、その乗り越え方

    Q. タイで働き始めた頃、いちばん苦労したことは何でしたか? A. 「言語の壁……と言いたいところなんですけど、実はそれより“商習慣の違い”のほうがキツかったです。

    象徴的な失敗があって。入って2か月目に、代理店さんに『金曜までにこのデザイン出してください』ってお願いしたんです。日本の感覚で、当然金曜には来るものだと思って何も確認しなかった。そしたら金曜になっても来ない。連絡したら『あ、月曜になります』ってサラッと言われて。私のキャンペーンの予定が全部ズレて、上司に謝りに行きました」

    Q. それは焦りますね……。どう乗り越えたのですか? A. 「学んだのは、“締め切りは握って終わりじゃなく、途中で何回も確認する”ってことです。日本だと『金曜』って言ったら金曜なんですけど、こっちは途中のリマインドがないと優先順位が下がっちゃうことがある。悪気はないんです、文化が違うだけで。

    だから今は、お願いした翌日に『進んでますか?』、中間で『ここまでできてますか?』ってこまめに声をかける。最初は『しつこいかな』って気にしてたんですけど、むしろ向こうも助かるみたいで。“性悪説”じゃなくて“前提が違うだけ”って捉え方を変えたら、すごく楽になりました」

    Q. これから来る人が同じ壁を避けるための、ヒントはありますか? A. 「『日本の当たり前は通用しない』って、最初から思っておくことですね。それは悪い意味じゃなくて。時間の感覚も、報連相のやり方も、メールの返信スピードも違う。それを“遅れてる”って見るとイライラするだけなので、“こういうルールのゲームなんだ”って受け入れる。

    具体的には、大事な締め切りは絶対に口頭だけで終わらせず、チャットに残して、途中で確認する。これだけで失敗の8割は防げます」

    タイ人スタッフと働くことの難しさ・楽しさ

    Q. タイ人のチームと働く中で、コミュニケーションで工夫していることは? A. 「いちばん意識しているのは、“人前で絶対に叱らない”ことです。タイってメンツをすごく大事にする文化で、みんなの前でミスを指摘されると、本人はものすごく傷つくし、その後の関係もギクシャクしてしまう。だから何か言う時は必ず1対1で、しかも『ここすごく良かった、ただここだけ直そう』ってセットで伝えるようにしています。

    あと、“サバーイ(心地よい・気楽)”を大事にする空気があるので、ピリピリした管理は逆効果。雑談したり、一緒にランチに行ったり、関係を作ってからお願いごとをすると、全然動きが違うんです」

    Q. 難しさもあると思いますが、逆に「楽しい」と感じるのはどんな時ですか? A. 「チームがすごく温かいんですよ。お土産を配り合ったり、誕生日をみんなで祝ったり、家族みたいな距離感で。私が体調を崩した時に、スタッフがわざわざお粥を買ってきてくれたことがあって、それは本当に泣きそうになりました。

    仕事の面で楽しいのは、彼らが現地のトレンドに本当に詳しいこと。『今タイの若い子はこれが流行ってる』っていう肌感覚は、私には絶対に出せない。そこを彼らから教わって施策に活かして、数字が伸びた時は最高ですね。“一人でやってない”って感じられる瞬間が、いちばん楽しいです」

    Q. マネジメントや協働で、いちばん大きな気づきは何でしたか? A. 「『自分のやり方を押し付けない』ことですね。最初は日本式の進め方が正しいと思い込んでいて、それでうまくいかなかった。でも、彼らのペースや文化を尊重したうえで、こちらの期待をちゃんと伝える。この“尊重と要求のバランス”が取れるようになってから、チームが一気に動くようになりました。海外で働くって、語学以上にこの“歩み寄り”が大事なんだなって」

    タイでマーケティング・PR職として働く魅力

    Q. 改めて、タイでマーケ・PRをやる魅力は何だと感じますか? A. 「一つは、市場が伸びている実感を持てること。タイのSNS利用率ってすごく高くて、新しいプラットフォームもどんどん試せる。日本だと『前例がないから』で止まる施策が、こっちは『面白そうだからやってみよう』で通る。マーケターとして、これは本当に面白い環境です。

    もう一つは、任される範囲の広さ。さっきも言いましたけど、戦略から実行、分析まで全部自分で回せる。20代でこれだけ幅広く経験できるのは、日本の大きい会社だとなかなか難しいと思います」

    Q. 仕事とプライベートのバランスや、生活面はいかがですか? A. 「そこも大きな魅力です。残業はほとんどなくて、定時で上がって、平日でも友達とご飯に行ったりジムに行ったり。週末は近場のビーチに行ったり。日本にいた頃は終電続きで、暮らしを楽しむ余裕なんてなかったので、人生の満足度はこっちのほうが圧倒的に高いです。

    生活費も東京より抑えられるので、しっかり働いて、しっかり遊んで、それでも貯金もできる。仕事だけじゃなくて“暮らし”が手に入った感覚があります」

    Q. キャリアの面では、どんな広がりを感じていますか? A. 「“東南アジア全体”が視野に入ってくることですね。タイで実績を作ると、次は『東南アジア地域の担当』みたいなリージョナルなポジションも見えてくる。日本国内だけでキャリアを考えていた頃より、地図がぐっと広がった感覚があります」

    今後描いていきたいキャリア

    Q. これから数年で、描いているキャリアの目標はありますか? A. 「まずはこのチームで、マーケのマネージャーになること。今はプレイヤー寄りなので、ちゃんとチームを率いて、数字に責任を持つ立場になりたいです。その先は、タイだけじゃなくて東南アジア全体のマーケを見るような、リージョナルな役割に挑戦したい。

    あとは、日本とタイの“架け橋”みたいな存在になれたらいいなと思っています。日本企業がタイで成功するお手伝いをしたり、逆にタイの良いものを日本に紹介したり。両方を知っている強みを活かせる仕事をしていきたいです」

    Q. 最後に、これから海外転職を目指す読者へメッセージをお願いします。 A. 「『完璧な準備ができてから』って思っていると、たぶん一生動けないです(笑)。私も英語はそこそこ、マーケも未経験寄りで来ました。それでも、現地で必死にやっていれば、語学もスキルも後からついてくる。

    大事なのは、“分からないことを受け入れられる素直さ”だと思います。文化も仕事のやり方も違うのが当たり前。それを面白がれる人なら、タイでのマーケ・PRは本当に楽しい仕事です。少しでも興味があるなら、まずは情報を集めて、エージェントに相談してみるところから始めてみてほしいですね」

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