海外で活躍する物流営業の求人ガイド|タイ・ベトナム・東南アジアの転職事情

物流業界の営業職として海外でキャリアを積む選択肢は、ここ数年で一段と現実味を帯びてきました。アジア太平洋のロジスティクス市場は年平均6%を超えるペースで成長が続いており、日系フォワーダーや3PL(サードパーティーロジスティクス)企業の現地採用ニーズは構造的に拡大しています。本記事では、タイ・ベトナム・シンガポールを中心としたアジア主要国の求人傾向と給与レンジ、ロジスティクス業界ならではのスキル要件、未経験から転職する現実的なルート、そして押さえておくべきビザ要件まで、転職活動を始める前に知っておきたい論点を整理しました。日本で物流営業の経験を持つ方も、異業種から挑戦を考えている方も、すでに海外に在住して次の一手を探している方も、それぞれの状況に合わせて読み進めてください。
海外で物流×営業の求人が増えている背景
日系ロジスティクス企業がアジアで営業人材を採用し続ける需要は、「一時的なブーム」ではなく構造変化に根ざしています。製造業のアジアシフトが加速するなかで、商流に連動するロジスティクスネットワークの現地化も進み、フォワーダーや3PL企業の営業ポジションが各国で生まれ続けているのです。

アジアサプライチェーン再編と日系物流の現地化
アジアのサプライチェーンは過去数年で大きく組み替わりました。「China+1」戦略のもと、製造拠点をタイ・ベトナム・インドネシアへ分散させた日系メーカーの動きに追随する形で、日系フォワーダー・3PL企業が現地拠点を増やし、そこで働く営業スタッフの採用を継続しています。
JETROが2025年に発表した「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によれば、同地域に進出した日系企業の66.5%が2025年度の営業利益を「黒字見込み」と回答しています(JETRO「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」)。進出企業の事業継続・拡大意欲が高い水準を維持しているということは、それを物流面で支えるフォワーダーや3PL企業にとっても、既存顧客の深耕と新規開拓の両面で営業機会が持続的に生まれることを意味します。製造業拠点のASEAN移転が一段落した後も、越境EC・コールドチェーン・危険物輸送といった専門ニーズが積み上がっており、営業人材の需要はより高度化・多様化する傾向にあります。
求人市場のボリュームゾーン
市場規模の面でも、アジア太平洋の物流需要の拡大は統計で裏付けられています。Mordor Intelligenceのレポートによれば、同地域の貨物・物流市場規模は2025年時点でおよそ2兆6,980億米ドルと推計され、2030年には3兆6,690億米ドルに達する見込みで、年平均成長率(CAGR)は6.34%にのぼります(Mordor Intelligence「Asia-Pacific Freight & Logistics Market」)。
ASEAN域内では製造業のスピルオーバーを受けるベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアがロジスティクス投資の集積地となっており、フォワーダー各社はこれらの国で法人営業・ルート営業担当者を継続的に採用しています。ABROADERS CAREERでは、営業×物流の組み合わせのアジア圏求人を継続的に掲載しており(海外×物流営業の求人を見る)、求人の多くがタイとベトナムを中心に分散しています。
国別の求人傾向と給与レンジ
物流営業の海外求人は、国によって求人量・給与水準・求められる経験が大きく異なります。タイのようにエントリーレベルから応募できる案件が豊富な市場がある一方、シンガポールは一定の経験と高い語学力が前提となる管理職ポジションが中心です。まず全体像を表で確認したうえで、各国の実情を掘り下げます。
| 国 | 主な勤務地 | 月給レンジ(現地通貨) | 円換算目安 | 案件特性 |
|---|---|---|---|---|
| タイ | バンコク/サムットプラーカーン/チェンマイ | 5万〜30万THB | 約20万〜120万円 | 日系大手フォワーダーの中心地 |
| ベトナム | ハノイ/ホーチミン | USD 2,000〜3,000 | 約30万〜45万円 | 法人営業・新規開拓ニーズ |
| シンガポール | シティー/イースト | SGD 3,500〜6,000 | 約40万〜70万円 | 地域統括・管理職ポジション |
| マレーシア | セランゴール州 | MYR 4,000〜25,000 | 約13万〜80万円 | 食品物流・ディレクター職など多様 |
| インドネシア | ジャカルタ | IDR 20M〜50M | 約20万〜50万円 | 引越業務・営業サポート含む幅広い案件 |
| 台湾 | 新竹/台中 | NTD 55,000〜65,000 | 約27万〜32万円 | 日本語ネイティブ・半導体顧客対応 |
※給与レンジはABROADERS CAREER掲載求人(営業/セールスエンジニア×物流)の観察値。円換算は概算(1THB≒4円、1USD≒150円、1SGD≒110円、1MYR≒33円、1NTD≒5円)。為替レートにより変動します。
タイ:日系フォワーダーの中心地
タイには約6,000社の日系企業が進出しており、日系フォワーダー・3PL各社はバンコクを中心に東南アジア最大級の物流拠点を構えています。求人の中心はバンコク都市圏で、隣接するサムットプラーカーン(倉庫・港湾集積地)や、EEC(東部経済回廊)内のチョンブリー・ラヨーン・チャチェンサオ県でも採用需要が続いています。

主な業務内容は、日系顧客向けの国際物流サービス(海上・航空輸送・通関・倉庫管理)の提案営業です。既存顧客の深耕とルート営業が主体になることが多く、新規開拓も並行して担います。バンコクで営業職を探すと、物流・商社・メーカーを含む幅広い求人が見つかります。
給与レンジは5万〜30万THBと幅が広く、経験年数やポジションで大きく変わります。経験が浅い若手は5万〜6万THBからスタートし、5年前後の実務経験でマネージャー手前の7万〜10万THB、マネージャー職では10万〜15万THBが目安です。20万THBを超えるのはシニアマネージャーや事業責任者クラスになります(日本と比較したタイの給与相場も参照)。
タイの給与目安:エントリー5万〜6万THB / 中堅7万〜10万THB / マネージャー10万〜15万THB / シニア20万THB超
なお、日本人がタイで合法的に就労するには、ワークパーミット(労働許可証)の取得が必要です。タイ労働省の運用ガイドラインにより、日本人の最低月給は5万THB以上が実務上の基準とされており、求人票に記載された給与水準が下限に設定されていることが多い点も覚えておきましょう。
ベトナム:ハノイ・ホーチミンの法人営業ニーズ
ベトナムは「China+1」戦略の主要受け皿として日系製造業の進出が続いており、物流需要も製造業の動きに連動して拡大しています。北部のハノイは工業団地・製造業集積地への近さから輸出入通関・倉庫・陸上輸送に強い案件が多く、南部のホーチミンは輸出インフラと商業機能が集中し、海上輸送・航空フォワーディングの法人営業ニーズが高い傾向があります。

給与レンジはUSD 2,000〜3,000(月給)が中心帯です。タイと比べてやや低水準ですが、生活費がその分抑えられるため、実質的な購買力の差は縮まります。スタートアップ系の物流テック企業もこのレンジで法人営業担当を採用しており、成長環境を重視する方には選択肢になります(日本と比較したベトナムの給与相場)。
ベトナムの給与目安:エントリー〜中堅 USD 2,000〜2,500 / シニア・マネージャー USD 2,500〜3,000+
現地スタッフの賃金水準については、ハノイ・ホーチミンを含む第1地域の最低賃金が2024年7月施行の政令74号(6%引き上げ)により月496万ドンに改定されており、物価・生活コストの参考指標として把握しておくと顧客との会話でも役立ちます(2年ぶりの最低賃金改定、7月から6%引き上げ(JETROビジネス短信))。
業務のイメージとしては、既存顧客深耕70%・新規開拓30%が典型的な比率です。輸出入通関、海上輸送フォワーディング、倉庫・在庫管理といったサービスをまとめて提案できるかが評価のポイントになります。
シンガポール:管理職・地域統括ポジション
シンガポールはASEAN域内で突出した物流ハブ機能を持ち、多くの日系物流企業がアジア地域統括拠点を置いています。その性質上、求人は営業マネージャー・地域統括クラスに偏る傾向があり、エントリーレベルの案件はタイやベトナムと比べて構造的に少ない市場です。

給与レンジはSGD 3,500〜6,000(月給)が一般的で、シニアマネージャークラスでは6,000SGDを超える案件も存在します。一方で就労ビザのEmployment Pass(EP)の申請には、2025年1月新規申請分より最低月給S$5,600(一般セクター)の要件が適用されており(2026年1月以降は更新申請にも順次適用)(Singapore EDB: Salary threshold for new Employment Pass applicants to be raised to $5,600 from 2025)、低いレンジの求人はEP取得を前提とする場合に注意が必要です。
シンガポールの給与目安:EP取得要件 月S$5,600以上(一般)/ 営業マネージャー S$6,000〜10,000 / シニア S$10,000+
EPはCOMPASS(Complementarity Assessment Framework)と呼ばれる複合評価フレームワークで審査されます。月給だけでなく学歴・職種ボーナス・企業の現地雇用率・多様性スコアも評価対象に含まれるため、「給与だけ満たせばいい」という単純な話ではありません(JETRO シンガポール 外国人就業規制・在留許可)。シンガポールを目指す場合は、まず5〜10年程度の経験を積んでから挑戦するルートが現実的です。
マレーシア・インドネシア・台湾:成長市場の選択肢
マレーシアはクアラルンプール近郊のセランゴール州が物流拠点の中心です。求人のレンジが広く(MYR 4,000〜25,000)、Sales Executiveクラスから営業ディレクタークラスまで多彩な案件があります。食品物流や冷蔵・冷凍倉庫の営業職など、特定業種に強い物流会社の高給ポジションが目立つ特徴もあります。
インドネシアはジャカルタを拠点とする日系物流企業が多く、月給はIDR 20M〜50M(約20万〜50万円)が標準帯です。引越・リロケーション業務の営業担当や、製造業顧客向けの在庫管理営業など、物流に隣接する周辺サービスの求人も多い点が他国と異なります。ジャカルタ首都圏の最低賃金改定が続くなか、日系企業は経験者には上乗せ給与を提示する傾向があります。
台湾は新竹・台中を中心に半導体・製造業顧客向けのフォワーダー営業求人があります。月給はNTD 55,000〜65,000(約27万〜32万円)が目安で、日本語ネイティブが必須要件に設定されることが多く、中国語を話せれば優遇される案件もあります。台湾市場でのキャリアを考える場合、日本語ネイティブであることが採用上の明確な強みになります。
3カ国の給与目安:マレーシア MYR 4,000〜25,000 / インドネシア IDR 20M〜50M / 台湾 NTD 55,000〜65,000
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物流営業として求められるスキル・経験
海外の物流営業に求められるスキルは、大きく「国際物流の業務知識」「提案型営業力」「語学力」の3つに分類できます。国内の物流営業と比べると、顧客折衝の範囲が国際輸送全体に広がり、英語でのやり取りが日常的になり、現地スタッフをまとめるマネジメント要素も早い段階で求められる点が異なります。
国際物流の基礎知識(フォワーディング・通関・倉庫)
物流営業が顧客と対等に話すには、まず業界の共通言語を理解する必要があります。特に重要なのは以下の領域です。
フォワーディング(貨物利用運送)とは、自社で船や飛行機を保有せず、輸送手段を手配・取りまとめて顧客の貨物を届けるサービスです。海上輸送(船便)と航空輸送(空便)は、コストとリードタイムのトレードオフで使い分け、顧客の在庫方針や貨物の性質に合わせた提案力が問われます。
通関業務は輸出入時の税関申告手続きで、物流の"最後の関門"にあたります。自社で通関業者を抱えているフォワーダーも多く、営業担当がHSコード(品目分類番号)の基礎知識を持っているかどうかで顧客の信頼度が変わります。保税倉庫(関税支払いを保留したまま貨物を保管できる特定倉庫)も、製造業顧客との会話で頻出のキーワードです。
Incoterms(インコタームズ)は貿易取引における費用・リスク負担の国際ルール集で、FOB(本船渡し)やCIF(運賃・保険料込み)が代表的な条件です。顧客との契約条件を理解するうえで不可欠な知識です。
ASEAN域内ではコールドチェーン(冷凍・冷蔵物流)の市場が急拡大しており、2025〜2030年のCAGR 8.8%が見込まれています。冷凍食品・医薬品・農産物の物流に詳しければ、3PL(サードパーティーロジスティクス)企業の専門職として差別化できます。これらは未経験者でも入社後のOJTで習得できますが、Incotermsの基礎と海運・空運の違いを事前に学んでおくだけで、面接での印象が大きく変わります。アジアのロジスティクス市場は今後も専門特化が進む見通しのため、自分が興味を持てる領域を早めに見極めることも大切です。
提案型営業力と顧客折衝
「物流営業」とひと口に言っても、現地での仕事は大きく2つのスタイルに分かれます。

1つ目は既存顧客深耕型です。日系製造業・商社の物流担当者と長期的な関係を築き、輸出入スケジュールの調整・トラブル発生時の迅速な対応・追加サービスの提案を通じて信頼残高を積み上げます。契約更新の維持・拡大が主なKPIとなる案件です。
2つ目は新規開拓型です。エリア内の日系進出企業リストを基に訪問・紹介営業・提案活動を重ね、新規アカウントを獲得します。ABROADERS CAREERの掲載求人を観察すると、「新規顧客30%・既存顧客70%」といった業務比率を明示する案件が多く、完全な飛び込み営業よりも既存基盤のある顧客接点からスタートする設計になっています。
求められるソフトスキルとしては、見積作成と価格交渉、社内オペレーション部門(手配・カスタマー担当)との連携、そしてトラブル発生時に顧客に対して冷静かつ誠実に状況を説明できるコミュニケーション力が挙げられます。「ノルマなし・飛び込み不要」を明示する案件もある一方、新規開拓重視のスタートアップ系フォワーダーでは積極的なアウトリーチが評価されます。自分のスタイルに合う案件を選ぶことが重要です。
語学力の現実的な必要レベル
語学要件は国・案件によって大きく異なり、「英語が苦手だから無理」という結論を出す前に、自分が狙う市場を見極めることが先決です。

タイ・ベトナム・インドネシアの日系顧客中心案件では、日本語でのやり取りが主体です。社内で英語を使う場面はあるものの、日常会話レベルで対応できる案件が多く、英語に自信がない方でも応募可能な求人が存在します。現地スタッフとのコミュニケーションで現地語が役立つ場面もありますが、当初から必須とする求人は少数です。
シンガポールは英語が業務言語のため、ビジネスレベルの英語力が必須です。TOEIC 700点以上を要件として明示する求人もあり、クライアントとの交渉・レポート作成・社内会議すべてを英語で行う環境です。
マレーシアは英語と中国語の両方が活用できる環境で、どちらかを優先する案件と両方を活かせる案件が混在しています。台湾は中国語(ビジネスレベルまたはネイティブレベル)と日本語の組み合わせが多く、半導体・製造業の日本人顧客との橋渡し役として日本語ネイティブが強みになります。
英語力に不安があっても、まずはタイ・ベトナム・インドネシアの日系顧客中心案件で経験を積み、その後シンガポールへの挑戦を視野に入れるという段階的なルートは現実的な選択肢です。
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未経験から物流営業として海外転職する道筋
物流業界の経験がなくても応募可能な海外求人は実在します。ただし、「未経験OK=誰でも採用される」わけではなく、採用される側にも一定の条件と準備が必要です。日本で異業種の営業を経験した方や、物流には携わっていないが海外で働きたいと考えている方は、この章を参考にしてください。

未経験OK求人が多い理由
ABROADERS CAREERの掲載求人を見ると、「未経験歓迎」「キャリアパス豊富」を明示する物流営業の案件が複数確認できます。なぜ、海外の物流企業が未経験者を受け入れるのか——その背景には3つの構造的な理由があります。
- 業界全体の人材不足:アジアに進出した日系物流企業はマネージャー・幹部クラスの確保に慢性的に苦労しています。即戦力が取れないならば、若手を入社早期から育て、3〜5年後の幹部候補として育成する方針をとる企業が増えています。
- 業務習得が標準化されている:国際物流のオペレーションは業界横断で共通する部分が多く、見積作成・輸送手配・通関対応の基本フローは入社後のOJTで体系的に学べます。物流特有の専門知識は、実務を通じて半年〜1年で現場対応できる水準に達する人材が多い。
- 日本語+営業経験の希少価値:日系顧客の物流担当者と対等に話せる日本語ネイティブは、現地では希少です。物流業界の経験よりも、日本のビジネス慣行を理解した法人営業の経験が評価される場面が多く、異業種出身でも採用されるケースが生まれます。
一方で、「未経験OK=何でも良い」ではありません。前職での営業経験・顧客折衝の実績は、ほぼすべての案件で最低限必要な要件として位置づけられています。
採用されやすい年齢・前職経験のパターン
海外物流営業への転職において、採用に結びつきやすいパターンを3つ整理します。
- 20代後半〜30代前半・国内異業種営業経験者
商社・メーカー・人材・広告・IT企業などで法人営業を経験した方。海外駐在のチャンスが現職にない、年功序列で昇進が遅い、といった理由で海外現地採用に転換するケースです。日系顧客中心の案件で営業経験が素直に評価されます。
準備ポイント:Incotermsの基礎と海運・空運の違いを事前学習しておく。 - 30代中盤〜後半・国内物流業界経験者
国内フォワーダー・3PL・通関業者・海運代理店出身の方。業界知識を活かして海外でキャリアをステップアップするパターンです。給与・役職の面で大幅な上昇余地があり、シンガポールのEPクラスやマレーシアのディレクタークラスも視野に入ります。
準備ポイント:英語力の棚卸し(TOEIC 700点目安)と、英語必須市場への挑戦可否を確認する。 - すでに海外在住・現地転職パターン
配偶者帯同や別業種の現地採用として在住している方が、次のキャリアを物流営業に絞って転職活動するケースです。ビザの就労範囲をすでに理解している点と、現地人脈・生活基盤が整っている点が強みです。
準備ポイント:現在保有しているビザが物流企業への転職後も有効かを確認する。新規ビザ申請が必要な場合は2〜3ヶ月のリードタイムを計画に織り込む。
海外物流営業のキャリアパス・年収の伸び方
海外物流営業はエントリーポジションからの成長余地が大きい職種のひとつです。現地の営業担当として入社し、シニア営業・マネージャー・支店長・地域統括へとステップアップするルートに加え、駐在員切替や本社グローバル部門への接続といった複数のキャリアパスが開かれています。国内営業職と比べると、ポジションの空きさえあれば年単位で大きく処遇が変わることが現地採用の特徴です。
ローカルマネージャー → 地域統括の昇進ライン
海外物流営業の昇進ラインは、おおむね以下の4段階で進みます。

STEP 1:エントリー(営業担当)
既存顧客フォローと新規開拓を並行して担い、見積作成・契約交渉・輸送手配の調整を覚える段階。給与は各国の運用基準の下限近辺からスタート。
STEP 2:シニア営業/アシスタントマネージャー
入社3〜5年が目安。特定アカウントのリード役、後輩指導、チームKPI管理への関与が加わる。
STEP 3:営業マネージャー
チーム全体のKPI責任、新規領域の開拓計画、本社・上位拠点との折衝。タイ月10万〜15万THB、シンガポールSGD 6,000〜10,000が目安。
STEP 4:ビジネス開発マネージャー/支店長クラス
拠点全体の営業責任、地域統括役員の候補ポジション。バンコクの外資系ロジスティクス企業では月20万〜30万THBレンジで募集されることもあり、現地採用キャリアの到達点としては魅力的な水準です。
給与の伸び方は国内勤務と比べて年単位で動きやすい一方、ポジションの空きのタイミングに左右される面もあります。「次のステップに上がれるタイミングはいつか」「どの拠点から地域統括に接続できるか」を入社前の面接で確認しておくことを推奨します。
駐在切替・グローバルキャリアへの接続
現地採用からのキャリアは「現地完結」だけではありません。日系大手物流企業の一部では、現地採用で実績を積んだ社員を本社の駐在員ポジションへ切り替える制度を設けており、切替後は日本本社の給与水準・退職金・年金体系が適用されます。ABROADERS CAREERの掲載求人にも「駐在員切替あり」を明示する案件が存在します。
もう一つのキャリア接続として、シンガポールなどの地域統括拠点への異動があります。複数国をまたいだ営業戦略の立案・管理を担うポジションに移行することで、アジア全域を視野に入れたグローバルキャリアへと道が開けます。その後、本社グローバル部門への帰任や、外資系物流企業へのキャリア転換につながった事例も見られます。
最初に選ぶ現地採用ポジションが、その後10年単位のキャリアを左右することは少なくありません。案件を選ぶ際には、給与・業務内容だけでなく、企業の人事制度(駐在切替の有無、地域統括との接続関係)を必ず確認するようにしてください。
海外物流営業の転職活動を進める前のチェックポイント
給与条件や業務内容と並んで、ビザ要件と業界リスクの2点は必ず事前に確認しておくべき項目です。「内定が出たがビザが下りなかった」「業界の景気後退で入社1年で会社規模が縮小した」というケースは珍しくありません。転職活動を始める前に、国別の制度と業界特性を把握しておくことが後悔のない転職の前提になります。
転職活動を始める前に確認すべき4つのポイント
- 応募する国のビザ・労働許可の最低給与要件を満たしているか
- 雇用主企業がビザ申請を支援する体制を持っているか(資本金・現地雇用比率など)
- 顧客ポートフォリオが特定業界に偏りすぎていないか
- 駐在切替や地域統括への接続など、入社後のキャリア発展ルートが明確か

ビザ・労働許可の国別要件
主要6カ国のビザ・労働許可の概要を以下に整理します。
タイ:ノンイミグラントBビザ+ワークパーミット(労働許可証)の組み合わせが基本です。日本人の最低月給は5万THBが運用基準とされています(タイの就労ビザの取得方法)。雇用主企業には払込資本金200万THB以上、タイ人4人につき外国人1人という比率要件がありますが、BOI(タイ投資委員会)認可企業では条件が緩和される場合があります。
ベトナム:労働許可証(Work Permit)+ビジネスビザの組み合わせです。大学卒業以上かつ関連分野での職歴3年以上が取得の標準要件とされています。詳細はJETRO ベトナム 外国人就業規制・在留許可を参照してください。
シンガポール:Employment Pass(EP)が主なビザ種別です。2025年1月の新規申請から最低月給がS$5,600(一般セクター)/S$6,200(金融セクター)に引き上げられており(更新申請は2026年1月以降に順次適用)、年齢が上がるにつれて求められる給与水準も段階的に上昇します。COMPASS(複合評価フレームワーク)による審査があり、給与だけでなく学歴・職種・現地雇用率・多様性スコアも評価対象です。
マレーシア:Employment Passが中心で、職位・給与水準により3カテゴリーに分類されます。インドネシア:IMTA(労働許可)とKITAS(一時滞在許可)の組み合わせが必要で、雇用主のスポンサー要件があります。台湾:就労ビザ+居留証の取得が必要で、大学卒業以上かつ関連職種の経験が基本的な要件です。
上記はいずれも制度の概略です。要件は改定されることがあるため、最新情報は各国の公的機関や日本大使館・JETROのページで必ず確認してください。
物流業界の景気変動とリスクヘッジ
物流業界はマクロ経済・貿易動向の影響を直接受けやすい産業です。製造業の設備投資が減速すると輸出入量が落ちこみ、フォワーダーの営業成績にすぐ影響が出ます。足元では世界経済の不確実性、関税政策の変動、サプライチェーンの再編加速が業績変動要因として意識されており、採用を積極化する企業と慎重化する企業で動きが分かれています。
こうしたリスクを踏まえたうえで、転職先選びの段階から以下の3点を意識するとキャリアの耐性が上がります。
- 顧客ポートフォリオの分散:日系1社依存ではなく、複数業界の荷主顧客を持つフォワーダーを選ぶことで、特定業界の景気後退の影響を緩和できます。
- 業務領域の多様化:海上・航空・倉庫・通関の複数領域に関わる経験を積むことで、市場環境が変化しても転職市場での競争力が維持されます。
- 成長領域への接続:コールドチェーンや越境EC物流など、景気耐性が比較的高い分野での実績は、長期的に評価されやすいキャリア資産になります。
物流業界全体としては、アジア地域の人口増加・中間所得層拡大・製造業のさらなる高度化を背景に、長期的な拡大トレンドが続いています。短期の変動に振り回されすぎず、キャリア全体を通じた成長シナリオを描いて転職活動に臨んでください。
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よくある質問
Q1. 物流業界未経験ですが、海外の物流営業に応募できますか?
応募可能です。日系企業を中心に、未経験者を一定数受け入れる募集が継続的に出ています。ただし、前職での法人営業経験・顧客折衝経験は基本的に求められます。応募前にIncotermsや海運・空運の基礎用語を学習しておくと、選考での評価が上がりやすい傾向があります。
Q2. 英語が苦手でも応募できる国はどこですか?
タイ・ベトナム・インドネシアでは、日系顧客対応中心の案件が多く、日常会話レベルの英語+日本語で応募できる求人が複数あります。一方シンガポール・マレーシアは英語がビジネス言語のため、TOEIC 700点以上やビジネスレベル英語が要件になることが多いです。応募先を絞る段階で語学要件を確認してください。
Q3. 30代後半・40代でも海外物流営業に転職できますか?
可能です。むしろこの年齢層は、国内の物流業界経験者であればマネージャー候補として歓迎される傾向があります。タイ・シンガポールの管理職案件は経験年数を重視するため、40代でのオファーも珍しくありません。ただし、シンガポールのEPは年齢に応じて最低給与が上がるため、応募ポジションの給与レンジが要件を満たすかは事前確認が必要です。
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