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タイ転職の給与相場2026|バンコクより地方が高いという事実と、手取りの考え方

目次

    タイの求人を見ていると、給与は「70,000 〜 100,000 (THB)」のように幅で示されます。この幅をどう読めばいいのか、そして額面のバーツが実際の暮らしでどのくらいの重みを持つのか。ここでは、いまタイで公開されている日本人向け求人の給与データを集計し、税や手当まで含めて整理します。

    先に結論のひとつだけ書いておくと、バンコクより地方のほうが給与は高く出ます。理由も含めて順に見ていきます。

    タイの求人給与は幅で示される|下限と上限、どちらを見るべきか

    タイの求人票は、月給を下限と上限のレンジで提示するのが一般的です。日本のように「想定年収500万〜700万円」と書くのに近いですが、決まり方が少し違います。

    タイの場合、このレンジは経験年数・語学力・前職の給与を見て面接後に決まることが多く、上限は「その職務で会社が出せる最大値」を意味します。集計してみると、上限と下限の差は中央値で30,000バーツ。同じ求人でも、月給で3万バーツの幅があるということです。

    つまり、同じ求人でも入り口の条件次第で年収が数十万円単位で変わります。求人票の上限だけを見て応募先を決めると、実際のオファーとのギャップが大きくなりやすい、ということです。

    相場の重心は下限7万・上限10万バーツ|公開求人の中央値

    現在タイで公開されている日本人向け求人の給与を集計すると、下限の中央値は70,000バーツ、上限の中央値は100,000バーツでした。平均ではなく中央値を見ているのは、一部の高額求人に引っ張られないようにするためです。

    分布で見ると、下限が70,000〜99,999バーツの求人がもっとも多く、次いで60,000バーツ台、50,000バーツ台と続きます。下限が100,000バーツ以上の求人も一定数あり、これは管理職や工場長など、任される範囲が明確に広いポジションです。

    上限側は、100,000〜149,999バーツの帯がもっとも厚くなります。150,000バーツ以上の上限を提示する求人も相応にあり、最高は300,000バーツでした。

    もう少し細かく見ると、下限が70,000〜99,999バーツの帯が全体の約4割でもっとも厚く、50,000バーツ台と60,000バーツ台がそれぞれ約2割ずつ続きます。この三つの帯だけで全体の8割を超えます。タイの求人を初めて見る人が「思ったより高い」と感じるのは、下の二つの帯の位置が高いからです。

    下限5万バーツが事実上の床になっている

    もうひとつ、集計してはっきり見えたことがあります。下限が50,000バーツを下回る求人は、ほぼ存在しません。全体を通して2件だけで、最も低いものが34,500バーツです。

    これはタイで働く日本人の給与に、事実上の下限ラインが存在することを意味します。背景には就労許可の要件があります。タイでは外国人が働くために就労許可が必要で、日本人の場合は月給50,000バーツ以上が実務上の目安とされています。求人の下限がこの水準に集まるのは、制度側から押し上げられているからです。

    逆に言えば、「タイは物価が安いから給料も安いはず」という前提で求人を見ると、実際の水準とはずれます。日本人向けの募集は、はじめから現地水準よりかなり上の帯に置かれています。

    バンコクより地方のほうが高い|上限中央値で2万バーツの差

    ここがこの記事でいちばん意外なところです。勤務地でわけて集計すると、次のようになりました。

    バンコク勤務(バンコクを含む求人)は、下限の中央値が70,000バーツ、上限の中央値が100,000バーツ。これに対してバンコク都外の求人は、下限の中央値が75,000バーツ、上限の中央値が120,000バーツです。上限で比べると2万バーツ、率にして2割の差がつきます。

    理由はいくつか考えられますが、求人票から読み取れるのは職種構成の違いです。バンコクの求人は営業・企画・事務といったオフィス職が中心で、応募できる人の母数が大きい。一方、地方の求人は工場長、拠点責任者、設備保全、生産管理といった、特定の経験がないと務まらないポジションが多くなります。代えのきかない仕事ほど、提示額は上がります。

    生活拠点を移す負担に対する上乗せ、という側面もあります。ここは求人票に書かれているわけではないので断定はできませんが、後述する住宅手当や社用車の付き方を見ると、地方勤務にはコスト面の手当てが厚いことは確かです。

    ただし、この差をそのまま「地方のほうが得」と読むのは早計です。地方求人の多くは特定の業界経験を必須にしており、応募できる人が限られます。バンコクの求人のほうが門戸は広く、未経験や異業種からの転職も相対的に入りやすい。給与の高さと入りやすさは、きれいに反比例します。

    チョンブリーがいちばん高い|東部の工業地帯という理由

    地方のなかでも、県別で最も高いのがチョンブリーです。下限の中央値が80,000バーツ、上限の中央値が120,000バーツ。全国の中央値より下限で1万バーツ高く出ます。

    チョンブリーはバンコクの南東に位置し、アマタシティやピントンといった大規模工業団地が集まるエリアです。日系メーカーの製造拠点が密集しており、求人の中身も工場管理、品質、設備保全、財務といった、工場を支える職種が並びます。

    シラチャには日本人コミュニティがあり、日本食レストランやインターナショナルスクールも揃っています。「地方勤務=生活が不便」というイメージとは、実態が少し違うエリアです。

    法定最低賃金は日額400バーツ|現地水準との距離を知っておく

    比較の物差しとして、タイの法定最低賃金を押さえておくと感覚がつかみやすくなります。

    タイの最低賃金は全国一律ではなく県ごとに定められており、バンコク都は日額400バーツです。2025年7月1日の改定水準(全国で日額337〜400バーツ)が、2026年に入っても据え置かれています。月26日稼働として計算すると、バンコクの最低賃金は月額10,400バーツ程度になります。

    つまり、日本人向け求人の下限である月給50,000バーツは、現地の法定最低賃金のおよそ5倍という位置にあります。この差が、生活のしやすさとして効いてきます。

    額面では比べられない|社用車・送迎・社宅・住宅手当

    タイの求人を比較するとき、給与だけを並べると判断を誤ります。福利厚生欄に、金額に換算できる項目が並ぶからです。

    実際の求人票から拾うと、住宅手当を月10,000バーツ支給する求人、家賃補助を月5,000バーツ出す求人、バンコクに社宅を完備している求人、運転手付きの社用車で通勤の送迎をする求人があります。通勤についても、社用車貸与、乗り合い送迎、自家用車利用時の距離単価(1kmあたり5バーツ)の支給と、形はさまざまです。

    こうした項目は地方勤務の求人に厚く付く傾向があります。住宅手当が月10,000バーツ出るなら、額面が同じでも実質の可処分所得は1万バーツ違う。給与レンジを比べる前に、この欄を横に並べて見ておくことをおすすめします。

    手取りはいくらになるか|2026年の税率で計算してみる

    タイの個人所得税は日本と同じく累進課税です。2026年時点では、課税所得150,000バーツまでが非課税、そこから150,000バーツ超〜300,000バーツ以下が5%、300,000バーツ超〜500,000バーツ以下が10%、500,000バーツ超〜750,000バーツ以下が15%、750,000バーツ超〜1,000,000バーツ以下が20%と上がっていきます。

    給与所得者の場合、総所得の50%(上限100,000バーツ)が経費として控除され、さらに本人控除60,000バーツが引かれます。社会保険料も控除対象で、月額所得17,500バーツ以上の人は月875バーツ、年間で10,500バーツが上限です。

    相場の中央値である月給70,000バーツ(年840,000バーツ)で試算すると、控除後の課税所得はおよそ669,500バーツ。税額は年間で約52,900バーツになります。実効税率にすると6%台です。月給100,000バーツ(年1,200,000バーツ)なら年間の税額は約122,000バーツ、実効税率で10%程度。日本で同じ年収帯にいる場合と比べると、税負担はかなり軽く感じられるはずです。

    ※ 実際の税額は扶養の有無や各種控除で変わります。ここに書いたのは控除を最小限にした場合の目安です。

    もうひとつ、額面を見るときに忘れやすいのが賞与です。タイの求人票では月給しか示されないことが多いのですが、福利厚生欄には「賞与:年1回」「賞与:年4回、個人業績に応じて支給」「過去実績4.0ヶ月分」といった記載が入っていることがあります。年収ベースで比べるなら、ここも合わせて確認しておく必要があります。

    上限に届く人と届かない人|レンジのどこで決まるか

    では、同じ求人のなかで上限に届くのはどういう人か。求人票の必須条件と歓迎条件を読み比べると、傾向が見えてきます。

    上限が高い求人ほど、必須条件に具体的な年数と対象が書かれています。「射出成形の経験が10年以上」「営業経験10年以上に加えてマネジメント経験3年以上」「国際税務/税務コンプライアンス業務経験者(目安として10年以上)」といった書き方です。逆に下限が50,000〜60,000バーツ台の求人は、必須条件が語学と基本的な実務経験にとどまります。

    つまりレンジの位置は、業界経験の深さと、任される範囲の広さで決まります。同じ職種名でも、プレイヤーとして入るのか、現地スタッフを動かす側で入るのかで、提示額の帯が変わる、と考えておくと近いはずです。

    給与から逆算して、住む場所を決める

    ここまでの内容を、応募前に決めておきたいこととして3つに整理します。

    第一に、勤務地。バンコク都内と都外では給与の水準も、付いてくる手当も違います。生活の利便性を取るのか、額面と手当を取るのか、先に決めておくと求人の絞り込みが早くなります。

    第二に、レンジのどこを狙うか。上限の数字ではなく、自分の経験で必須条件を満たせる求人の下限を見たほうが、現実的な比較になります。

    第三に、額面以外の条件。住宅手当、社宅、社用車、通勤補助は、月あたり数千〜1万バーツ規模で効いてきます。給与レンジが近い2社で迷ったら、ここが判断材料になります。

    この3点が固まったら、あとは実際の募集を見ながら詰めていくのが早いです。タイの求人一覧では、勤務地や職種、「語学力不問」「年間休日120日以上」といった条件で絞り込みができます。条件面の詳細や、いま公開されていない求人については、海外就職に詳しいキャリアアドバイザーに相談すると整理が早く進みます。

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    ※ 給与データは本サイトに掲載中のタイ求人をもとに集計したものです。最低賃金はバンコク週報、税率・控除はアジア・ダイナミック・コミュニケーションズ「タイ個人所得税計算機 2026年版」を参照しました。

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