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タイで働く50代の転職ガイド2026|定年55歳という壁と、それでも採用される人の条件

目次

    タイで働くことを考えている50代の方が、最初にぶつかる情報があります。「タイの定年は55歳」というものです。実際、転職を経験された方からも「タイでは多くの会社が55歳を定年退職年齢と設定しており、年齢を理由に不採用とされた案件が2件ありました」という声が寄せられています。

    では50代でタイに行くのは無理なのかというと、そうではありません。ABROADERS CAREERに掲載されているタイの求人のうち、特徴欄に「シニア歓迎」が付いているものは31件あります。月給は45,000バーツから300,000バーツまで。この記事では、その31件の求人票に何が書かれているかを読み解いて、55歳という数字の実態と、それでも採用される人の条件を整理します。

    「タイの定年は55歳」は本当か|求人票15件の記載を並べる

    まず事実から確認しましょう。シニア歓迎の31件のうち、定年や年齢について何らかの記載があるのは15件でした。そのうち定年年齢を明示しているものを数えると、55歳が7件、60歳が6件です。

    つまり「タイの定年は55歳」は半分正しく、半分正しくありません。55歳としている企業は確かに多いのですが、同じくらい60歳の企業もあります。日系特殊鋼材加工メーカーの拠点責任者の求人には「定年退職年齢:60歳」、自動車部品メーカーの技術設計には「社内規定では定年は60歳となっています」と書かれています。

    誤解されやすいのですが、タイの法律が定年を55歳と定めているわけではありません。労働者保護法が年齢に触れているのは60歳です。55歳という数字は社会保険の老齢給付の受給開始年齢や、各社が就業規則で定めた内容に由来します。だからこそ企業ごとにばらつきが出て、今回の31件でも55歳と60歳がほぼ半々に割れています。

    55歳と書いてあっても終わりではない|「その後」の記載を読む

    ここが最も重要な点です。定年55歳と書いてある求人でも、その先が用意されているものが少なくありません。

    日系塗料メーカーの工場長の求人には「定年55歳(雇用延長も応相談可能)」とあります。樹脂加工メーカーの営業(コラート勤務)は「定年:55歳(定年後は嘱託契約が可能)」。精密部品メーカーの機械設計マネージャーは「定年:55歳(定年後は1年毎の顧問契約更新)」と、更新の形まで書かれています。食品メーカーの経理も「定年:55歳(定年を過ぎた場合は契約社員形態となります)」です。

    最も端的なのが、日系金属加工メーカーの工場運営サポートの記載です。「定年55歳(タイ人に対する規定なので日本人に関しては働きたければいつまででも)」。定年55歳という数字が、そもそも誰に向けた規定なのかを示しています。

    60歳としている企業でも同様です。自動車部品メーカーの技術設計と、同じく自動車部品メーカーの営業・マーケティングゼネラルマネージャーは、どちらも「社内規定では定年は60歳となっています。しかし、双方協議の上雇用延長の検討も可能です」と書いています。

    求人票の定年欄は、そこで打ち切られる年齢ではなく、雇用形態が切り替わる目安として読むほうが実態に近いといえます。

    65歳まで更新できる求人もある|上限が高い企業

    さらに長く働ける前提の求人もあります。

    日本本社がプライム上場の日系プラスチック部品メーカーは、射出成形アドバイザーと金型アドバイザーの2ポジションを募集しており、どちらも「定年:60歳(65歳まで更新可能)」。同じ会社のエンジニアマネージャーも「定年:60歳(65歳まで更新可能)」で、求人タイトルには「駐在雇用の可能性あり」とあります。

    日系独立系コンサルティング会社のコンサルタント職は、定年欄が端的に「65歳」。この求人は「語学不問・コンサルティング未経験者歓迎」を掲げているもので、年齢と語学の両方でハードルが低く設定されています。

    タイ上場の大手飲料メーカーが募集するガラスボトル工場の工場長は、応募条件そのものに「年齢不問(シニアの方を想定)」と書かれています。ここまで明示している求人は31件のうちこの1件だけですが、企業側が最初からシニア層を想定して募集をかけている例です。

    何で採用されるのか|シニア歓迎求人の多くが求める「代えがきかない経験」

    シニア歓迎の求人が求めているものを、必須条件から拾ってみます。

    タイ大手自動車部品メーカーの金型スペシャリストは「自動車用金型・順送金型設計、または金属プレス加工工程エンジニアリングの分野における10〜15年以上の実務経験」。同社の研究開発アドバイザーは「自動車工学、製品開発、生産技術、またはR&Dマネジメントの分野における10年以上の実務経験」。ダイカストメーカーの品質部門長は「鋳造または金属加工分野での品質管理、保証経験(目安として5年以上)」です。

    いずれも年数が長い。しかし裏を返せば、年数の長さそのものが応募資格になっているということです。20代では満たしにくく、経験を積んだ層に有利に働く条件だといえます。

    語学より経験を取る姿勢は、条件欄にも表れています。31件のうち特徴欄に「語学力不問」が付くものは7件。タイ上場の大手飲料メーカーが募集するガラスボトル工場の工場長は、必須条件が「ガラス製造業エンジニア経験者」「製造過程の改善、改良をされてきた経験をお持ちの方」「年齢不問 (シニアの方を想定)」「英語不問 (社内には通訳あり)」の4点です。技術で採る前提の募集では、年齢や語学より扱える工程と改善の実績が問われます。

    月給4.5万〜30万バーツ|シニア歓迎求人の給与レンジ

    シニア歓迎31件の月給は45,000バーツから300,000バーツまで開いています。

    上限の300,000バーツは、タイと日系の合弁企業が募集する自動車部品の技術設計。必須条件は「部品設計および製造工程について管理されてきたご経験(理想10年以上)」と「Auto CAD / Solid work が扱えること (ビジネスレベル)」の2点で、語学は歓迎条件です。特徴欄には「語学力不問」「シニア歓迎」「高給/好条件」が並びます。

    「シニア歓迎=条件を下げて雇われる」というイメージを持つ方もいますが、実際の求人はそうなっていません。むしろ経験の深さがそのまま額に反映されるレンジになっています。

    もちろん下限側の求人もあります。最も低い45,000バーツはバンコクの日本語教師の募集で、必須条件は「日本語教員登録制度に基づく『日本語教員登録証』を保有している方」の1点。金額は控えめでも、資格がそのまま入口になるタイプの求人です。

    ビザと就労許可|年齢そのものは要件ではない

    タイで働くには、ノンイミグラントBビザ(就労目的の査証)とワークパーミット(労働許可証)が必要です。手続きは採用企業が主体となって進めます。

    ここで押さえておきたいのは、ビザや労働許可証の取得要件に年齢の上限がないことです。一般に労働許可の審査で見られるのは学歴と実務経験年数で、年数が長いほど有利に働きます。なお今回の31件では、福利厚生欄に「ビザ、労働許可証支給」と書かれているだけで、取得要件そのものを記載した求人はありませんでした。

    年齢で引っかかるとすれば、それは企業側の社内規定(定年)とのすり合わせです。だからこそ、定年欄と「雇用延長」「嘱託契約」「顧問契約」といった記載を先に確認しておく意味があります。

    どんな職種に「シニア歓迎」が付くのか|31件の顔ぶれ

    シニア歓迎のタグが付く求人には、はっきりした偏りがあります。

    目立つのが製造業の技術職と工場のマネジメントです。金型スペシャリスト、研究開発アドバイザー、機械設備設計、機械設計マネージャー、射出成形アドバイザー、金型アドバイザー、エンジニアマネージャー、品質部門長、工場長、拠点責任者、工場運営サポート。日本のものづくりの現場で長く働いてきた経験が、そのまま条件を満たす領域です。

    次に管理部門。食品メーカーの経理(サラブリ勤務)のように、「製造業における経理・財務経験をお持ちの方」がそのまま必須条件になるポジションが含まれます。

    そして営業。樹脂加工メーカーの営業(コラート勤務)、自動車部品メーカーの営業・マーケティングゼネラルマネージャーなどが並びます。

    共通しているのは、現地スタッフを育てる立場か、日本本社との橋渡しをする立場かのどちらかだということです。手を動かす作業者としてではなく、判断して人に伝える役割で採用されています。

    勤務地はチョンブリーが最多|生活面で先に決めておくこと

    シニア歓迎の求人は、勤務地にも特徴があります。最も多いのはチョンブリーの11件で、バンコクの8件を上回ります。次いでパトゥムターニーが3件、ラヨーンとチャチュンサオが各2件、サムットプラーカーン・サラブリー・コラート(ナコンラチャシマ)などが各1件。工場のマネジメント職が中心のため、工業エリアに寄る構図です。

    ここは生活設計に直結します。バンコク勤務も8件ありますが、それ以外は工業エリアです。日本人向けサービスが揃ったバンコクと、工業団地周辺の生活はかなり違います。医療機関へのアクセス、日本語が通じる病院までの距離は、年齢を重ねるほど気になる部分です。

    通勤条件は求人ごとに書き分けられています。ガラスボトル工場の工場長は「通勤について (要相談 : ドライバー付き社用車貸与可能)」に加えて住宅手当あり。食品メーカーの経理(サラブリ勤務)は「通勤:バンコクから乗り合いサポートあり」と、都心から通う前提が示されています。一方で自力通勤が前提の求人もあるので、条件欄は必ず確認してください。

    単身で行くのか家族と行くのかによっても選択肢が変わります。求人によっては家族分のビザ支給を明記しているものもあるので、条件欄は細かく確認してください。

    応募前に確認しておきたい4つのこと

    50代でタイの求人に応募するとき、条件欄で見るべき箇所は決まっています。

    • 定年年齢と、その後の扱い:55歳か60歳か。そして「雇用延長も応相談可能」「定年後は嘱託契約が可能」「1年毎の顧問契約更新」「65歳まで更新可能」といった記載があるか。ここが最も重要です。
    • 必須条件の経験年数:10年以上、10〜15年以上といった条件は、シニア層にとって不利ではなく有利な条件です。自分の年数が要件を満たすかを先に確認してください。
    • 語学要件が必須か歓迎か:技術で採る求人では語学が歓迎条件に回ります。「語学力不問」のタグが付いた求人も含まれています。
    • 通勤と住まいの条件:工場勤務の求人では自力通勤が前提のものもあれば、社用車貸与や送迎が付くものもあります。生活の負担に直結します。

    年齢を理由に断られたときに、次に見るべきもの

    冒頭で紹介した「年齢を理由に不採用とされた案件が2件ありました」という声のように、実際に断られることはあります。ただしそれは、その企業の社内規定が55歳で切られていて、かつ延長の運用がなかったというだけの話です。

    同じタイの求人の中に、定年60歳の企業も、65歳まで更新可能な企業も、年齢不問と明記している企業もあります。断られた理由が年齢だったのなら、次は定年欄の記載が違う求人を探すのが正解です。

    そして応募時には、経験年数を前面に出してください。「10〜15年以上の実務経験」「目安として5年以上」といった必須条件は、経験を積んだ層だからこそ満たせるものです。年齢は不利な情報ではなく、その条件を満たしている証明として機能します。

    まずは実際の求人を眺めて、定年欄に何が書かれているかを見比べてみてください。

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    ※本記事の求人情報・給与・勤務条件・定年に関する記載は、ABROADERS CAREER 掲載求人(求人掲載元:Reeracoen Thailand、2026年8月時点)のうち特徴欄に「シニア歓迎」が付く31件に基づいています。転職者の声は、当社が実施した転職体験アンケートの回答から個人が特定されない形で引用しています。

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